物材研究機構の最新解析装置「3DAP」、企業に利用機会提供

 物質・材料研究機構(NIMS)と科学機器メーカーの米カメカなどは26日、鉄鋼など材料の原子分布を3次元に可視化できる3次元アトムプローブ(3DAP)の最新機種を民間企業などに試験的に使ってもらう取り組みを始めると発表した。3DAPの有用性を知ってもらい、民間企業の先端材料開発を後押ししたい考え。鉄鋼メーカーなど幅広い企業に利用を呼び掛ける。

 試験利用できるのはカメカ製の3DAPの最新機種「EIKOS―X」。茨城県つくば市のNIMSの拠点で利用できる。同装置は販売予定価格が1台約2億5千万円と高額だが、成果の公開を前提にNIMSと共同研究を行う場合は利用料がかからない。成果を開示しない場合も使用料を負担すれば利用できる。3DAPの利用実績を持つNIMSが使い方も指南する。

 カメカは3DAPの有用性を広く知ってもらうことで同装置の普及につなげたい考え。 3DAPは電子顕微鏡では分析できない軽元素を含む全ての元素について種類や位置を特定できる。先端材料開発に有効だが、装置が高価な上、試料作製にノウハウが必要なことから産業界などへの普及がこれまで限定的だった。

 今回の取り組みを主導する「NIMS―CAMECA 3DAPラボ」が同日発足。これを記念し同日現地で開かれた研究会では、講師に招かれた東北大学の古原忠氏、新日鉄住金の高橋淳、小林由紀子の両氏らが鉄鋼材料の解析に3DAPを活用した事例を紹介した。

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