次世代自動車市場、35年はPHV31倍・EV15倍に 富士経済予測

 マーケティングリサーチの富士経済は、次世代自動車の市場動向を調査し、「18年版HEV、EV関連市場徹底分析調査」としてまとめた。2035年の世界市場はハイブリッド自動車(HV)が17年比2倍の420万台、プラグインハイブリッド自動車(PHV)が同比31・1倍の1243万台、電気自動車(EV)が同比14・8倍の1125万台に拡大すると予測。HVはEVシフトの影響で成長率が緩やかになるが、PHV、EVは欧州や中国市場がけん引し、大幅に増加すると予測している。

 現状の次世代自動車市場は、HVが市場の伸びをけん引しているが、今後はEVシフトが進み、HVの伸びが緩やかになるとみている。PHVとEVは25年以降に伸びが加速し、拮抗しながら市場をけん引すると予測した。

 地域別では、日本市場は当面HVが主流になるとみられ、PHV、EVは自動車メーカーの商品構成の主軸がHVから切り替わるタイミングで何らかの購入補助が開始されると予想し、30年以降はPHVとEVの販売比率が高まると予測した。北米市場はZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)規制により、自動車メーカー各社がPHV、EVの販売に注力するため、伸長するとみるが、ガソリン安から内燃車の需要も継続し、35年のPHV、EVの販売比率は北米市場の17・6%にとどまると予測。

 欧州は環境規制と補助金でPHVとEVが伸長し、先進国での需要が増加する見通し。35年のPHVとEVの販売比率は27・4%と予測するが、南欧や東欧では内燃車需要が中心とみる。中国は電動車産業を育成し、自動車メーカーの商品競争力を高めている。当面は外資系自動車メーカーの合弁規制を緩和してEVシフトを展開する構えだが、自動車メーカーの育成と電力の供給や電力設備、充電設備などを整備し、内陸部まで需要を拡大させるには今後10年以上かかると予測した。アセアン・東アジアは、富裕層向けの高級EVや、都市交通の手段としてのコンパクトEVの需要が期待できるが、当面は電力供給などインフラ整備が課題になると予測した。

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