サンダース氏追い出した「レッド・ヘン」、同名レストランにも被害続出

By 太田清

サンダース米大統領報道官(AP=共同)

 サンダース米大統領報道官が首都ワシントン近郊の小さなレストラン「レッド・ヘン」(『赤いめんどり』との意味)で食事をしようとしたところ、トランプ大統領の報道官であることを理由に退店を求められた事件は、トランプ氏が「サンダース氏のような素晴らしい人を追い出すより、不潔な日よけや扉、窓の掃除に集中すべきだ」とレストランを攻撃。一方で、野党民主党議員は「レストランや百貨店で政権の閣僚を見かけたら、群衆を募って追い出せ」と訴えるなど波紋を呼んでいる。

 事件を受け、「レッド・ヘン」との名称を付けているだけで何の関係ないのに、全米の飲食店のほか、出版社までもトランプ氏支持者とみられる人々から嫌がらせを受けていることが分かった。「ザ・バージ」などの米メディアが伝えた。 

 バージによると、少なくとも10のレストランなどが、サンダース氏を追い出したレストランと混同されたり、フランチャイズと見なされたりして、抗議の電話や非難の書き込みなどの被害を受けた。ニュージャージー州の同名レストランには事件後、600本以上の電話が殺到。多くがサンダース氏への対応を批判するもので、このレストランは「ワシントン近郊のレストランとは全く関係ありません。人種や宗教、政治的主張にかかわらずすべてのお客様を歓迎します」とフェイスブックに投稿した。 

 コネチカット州の同名レストランも「事件のレッド・ヘンとは関係ありません。どうか攻撃したり、侮辱したりするのをやめてください」とフェイスブックで懇願。米国だけでなく、カナダやフィリピンの同名レストランにも苦情が来ているという。ジョージア州の同名カフェは10年前に閉店したにもかかわらず、元オーナーの元に「あなたのところでは二度と食事をしない」などの苦情が寄せられた。ワシントンの同名レストランは「おまえの店を燃やしてやる」と脅されたため、警察の警護を要請、店の窓に「あのレッド・ヘンじゃない」とのサインを掲示した。 

 被害を受けているのは飲食店だけではない。ニューヨーク・ポスト紙(電子版)によると、カリフォルニア州の出版社「レッド・ヘン・プレス」のフェイスブック・アカウントには「あなたの無礼で不親切な行為は報いを受けなければならない」と書き込まれた。 

 当のレッド・ヘンのフェイスブックには、最新の投稿に対して店側の対応への賞賛、批判双方の3万8000件以上のコメントが寄せられている。 (共同通信=太田清)

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