「自分の色を磨きたい」 宮沢氷魚が神奈川発地域ドラマ初主演

 NHKの神奈川発地域ドラマ「R(ルート)134/湘南の約束」(BSプレミアム27日午後9時)で、ドラマ初主演を飾ったモデルで俳優の宮沢氷魚(ひお)。「神奈川は母親の地元で、幼い頃から慣れ親しんだ大切な場所」と語る宮沢に、役に込めた思いを聞いた。

 父は、元「THE BOOM」の宮沢和史。今の道を志したのは、父の影響だった。「高校1年の頃、父のライブを久しぶりに見たんです。たった2時間で人を感動させることができる芸の力に圧倒されました」

 米国のカリフォルニアに生まれたクオーターで、東京で育った。得意な語学を生かして、米国の大学にも進学。2年間在学した後、「芸の道に進みたい」と、芸能事務所に留学先から履歴書を送った。

 俳優志望だったが、演技の経験がなかったため、スタイルの良さを生かしてモデルとしてデビュー。雑誌「MEN’S NON-NO」で活躍してきた。「最初、カメラの前に立つのは怖かったけれど、だいぶ鍛えられました」と笑顔を見せる。

 昨年、人気ドラマ「コウノドリ Season2」で、念願だった俳優デビューを果たした。そして、3作目となる今作で、異例の主演に大抜てきされた。

 演じる洸太(こうた)は、ある出来事がきっかけで、地元の葉山町を去った青年だ。トラウマ(心的外傷)を抱えながら生きる洸太だが、あるバーで昔の恋人との思い出の場所を探す米国の老婦人・マリア(ニーナ・ムラーノ)と出会う。彼女の旅を通して、再び故郷に舞い戻る洸太。旅の途中、さまざまな人と出会いを重ね、成長していく姿が描かれる。

 「神奈川は母の地元なので、撮影場所はすべて行ったことがあったんです。10年ぶりに故郷に戻る洸太の気持ちが手に取るように分かって、演じていてとても心地よかったです。僕にとって一生忘れられない作品になりました」と思いを込める。

 憧れの俳優は、「メンズノンノの大先輩である阿部寛さん」だ。「阿部さんの個性は、誰にもまねできない。僕も、自分だけの色をこれから磨いていきたいです」

バーの店長役で元プロ野球選手の三浦大輔も出演。「横浜DeNAベイスターズの大ファンなので、共演できて感動しました」と話す宮沢氷魚=横浜市内(撮影・立石祐志)

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