金属行人(6月28日付)

 今月行われた日本鉱業協会の全国鉱山・製錬所現場担当者会議で、トヨタ自動車の松山洋司調達本部ユニット部品調達部長の特別講演があった。ニーズの多様化や技術革新、環境規制などクルマを取り巻く環境が激変する中、自動車メーカーの今後の方向性などについて講演があり、興味深く聴いた▼そこで挙げられていたのは「知能化・情報化・電動化」という三つのキーワードと材料確保の重要性だ。クルマの知能化・情報化は電子部品の必要数を飛躍的に増加させるため、原料となるシリコンウエハの確保が課題の一つ▼電動化でも電池に使われるリチウム、ニッケル、コバルトの資源確保が課題だ。電気自動車に使われる電池の数量と容量の増加に対応するためには、この3元素の確保が不可欠。講演でも3元素の資源不足と価格リスクを懸念材料に挙げていた▼電気自動車の普及ペースの見方は一時期よりトーンダウンしているが、電池材料の確保に向けた各国政府や海外企業の調達姿勢はむしろ強まっている感もある。資源の安定確保を進めると同時に、省資源やリサイクルなどの技術開発をどう進めるか。自動車メーカーを中心に連携の輪を広げ、オールジャパンでの取り組みが求められている。

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