運動会、苦情の矢面「煩わしい」〈PTA会長になった記者リポート〉

荒尾市の小学校で開かれた運動会。PTA会長として本部テントの中から児童たちに声援を送った。

 梅雨入り直前の5月27日、青空の下、荒尾市の小学校の運動会が幕を開けた。開会式で整列する児童の中に、わが子の姿を探していた、そんな時だった。「会長、ちょっと来て!」。有志の父親らでつくるPTA傘下団体「おやじの会」の1人が、血相を変えて本部席に駆け込んできた。

 学校近くの路上に車を止めた人が、車の移動を求めた同会メンバーと、もめているというのだ。「いきなりですか…」。心の声が思わず口を突いて出た。

 おやじの会は当日、校門の開門と同時に白熱する保護者らの場所取りに備え、午前4時に集合。開門後、昨年は運動会を一時中断するほど多発した路上駐車(路駐)の警戒に当たっていた。

 この路駐騒動は先生に間に入ってもらい、事なきを得た。本部席に戻って一息付き、手元のメモ紙に目を落とした。〈みなさんのご協力で、気持ち良く運動会を始めることができました〉-。早朝の場所取りを無事乗り切った後、閉会式で伝えようと走り書きしたこのせりふは「使えそうにないな」と思った。

 運動会の路駐は、うちの小学校だけの問題ではないようだ。市PTA連合会の今月13日の会議でも、いくつかの小学校の会長が報告で触れた。「パトロールする側も保護者。お互い嫌な思いをしてほしくない」。三角コーン50個を購入し、路駐が予想される場所に配置した学校の会長は、予防策の大切さを切々と語った。

 PTAの役員や委員を敬遠する理由の一つに、同じ保護者や地域の人らからの苦情や、不満の矢面に立たされる「煩わしさ」を挙げる人も少なくない。

 実際、運動会前にあった運営委員会で、こんな声が上がった。「苦情まで言われるなら誰も役員や委員をしたくなくなる」。事前に各地域用のテントを設営する人手の確保に尽力している地域長の1人からだった。この保護者は以前、設営の段取りについての苦情を直接受けた経験があるそうだ。

 学校行事などをサポートしてくれる人たちが、余計な「煩わしさ」をできるだけ感じないでいいようにするためにも、多くの保護者に、役員や委員の活動への理解を深めてもらうことが不可欠だろう。

 まずはPTA新聞を通して、家庭や仕事に都合を付けて事前の打ち合わせに集まったり、わが子の運動会をゆっくりと楽しみたい気持ちを抑えて、当日の場内整理や見回りに走り回ったりしていた様子を伝えたいと思っている。

 運動会の閉会式を締めくくる万歳三唱で、子どもたちの健闘をたたえた後、保護者には「大人たちが力を合わせて、汗を流す姿を見せましょう」と上ずった声で、後片付けへの協力を求めた。ただ、前置きが長すぎるという空気も感じ、万歳三唱後、苦笑いで壇上を下りた。そんな父を長男(8)は「格好良かった」と言ってくれた。会長をやるのも悪くないな。初めてそう思った。(荒尾支局・原大祐)

(2018年6月28日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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