〔霧島山(新燃岳)〕噴火続くも、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引き下げ(6/28)

28日11:00、福岡管区気象台・鹿児島地方気象台は、宮崎・鹿児島県境の霧島山(新燃岳)について、噴火警戒レベル3(入山規制)から2(火口周辺規制)に引き下げる、火口周辺警報を発表しました。これに伴い、警戒する範囲をこれまでの火口から概ね3kmから概ね2kmに縮小しました。
噴火警戒レベルが2となるのは、昨年10月11日の噴火発生後、約8ヶ月ぶりとなります。

新燃岳では、4月以降も噴火が時々発生していますが、大きな噴石の飛散は火口の中心から1100mまで達したのが最大でした。GNSS連続観測では、霧島山を挟む基線で、3月中旬以降、霧島山の深い場所でのマグマの蓄積を示すと考えられる基線の伸びがみられていますが、5月上旬から一部の基線でその伸びは鈍化しています。新燃岳近傍の傾斜計では、6月に入ってから山体膨張を示す顕著な変化は観測されていません。火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、3月中旬以降1日あたり最大1000t程度で経過していましたが、6月1日には1日あたり80tまで減少しています。
一方、新燃岳火口の浅部では活発な地震活動が続いていることなどから、引き続き、弾道を描いて飛散する大きな噴石が新燃岳火口から概ね2kmまで、火砕流が概ね1kmまで達する噴火の可能性があります。

【火口周辺での警戒が必要な市町村】
・宮崎県 :小林市 (高原町は対象外に)
・鹿児島県:霧島市

【警戒・注意事項】
・警戒:(火口から概ね2kmまで)弾道を描いて飛散する大きな噴石/(火口から概ね1kmまで)火砕流
・注意:(風下側)火山灰、小さな噴石(火山れき)、火山ガス/空振による窓ガラスの破損/降雨時の土石流

■霧島山(新燃岳)火山活動の経過
<2017年>
・05/26 14:00 【噴火予報発表】噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)引下げ。
・7月頃から  霧島山の深い場所で膨張する傾向が認められるように。
・09/23から  火山性地震が日に10回以上観測されるなど次第に増加。

・10/04    現地調査で西側斜面の割れ目付近及び割れ目の下方で引き続き噴気と弱い熱異常域を確認。火山性地震は日に39回に増加。
・10/05 23:35 【火口周辺警報発表】噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引上げ。
・10/06    1日の火山性地震の回数が163回に達する。
・10/09 15:12 火山性微動に伴う傾斜変動を観測。火山性微動は15:53まで観測された。
・   22:21 火山性微動が連続して発生。
・10/11 05:34 △噴火発生。火口縁上300mまで噴煙上昇も、噴石飛散はなし。
・   11:05 【火口周辺警報発表】噴火警戒レベル3(入山規制)に引上げ。
・10/15 19:00 【火口周辺警報切替発表】レベル3は継続、噴石や火砕流の警戒範囲を火口から概ね3kmに拡大。
・10/17 00:30 この頃を最後に以降は噴火の発生なし。
・10/31 14:00 【火口周辺警報切替発表】レベル3は継続、噴石の警戒範囲を火口から概ね2kmに、火砕流の警戒範囲を火口から概ね1kmに縮小。

<2018年>
・03/01 08:15 火山性微動発生、以降継続。
    11:00 △山麓の宮崎県高原町付近で降灰との連絡あり。ごく小規模な噴火発生を確認。
    17:40 【火口周辺警報切替発表】噴火警戒レベル3は継続、噴石の警戒範囲を火口から概ね3kmに、火砕流の警戒範囲を火口から概ね2kmに拡大。
・03/06 14:27 ▲2011年3月1日以来となる爆発的噴火が発生、噴煙が火口縁上最高2300mまで上昇。爆発的噴火は以降も相次ぐ。
        上空観測で、火口内の東側で新たな溶岩を確認。また、火口の中心及び北側付近から噴煙が上がっているのを確認。
    22:01 ▲爆発的噴火で、弾道を描いて飛散する大きな噴石の火口外への飛散がみられるように。最大700m飛散。
        監視カメラで、火口内の溶岩の盛り上がりや火映を観測。
・03/07 06:15 ▲爆発的噴火、噴煙が2011年4月3日以来となる火口縁上3000mに。
        現地調査で、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が1日あたり34000tと急増。溶岩が火口内に上昇してきたことによるものと考えられる。
        聞き取り調査で、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県の広範囲で降灰を確認。
・03/08 15:36 3月1日から続いていた火山性微動が停止。以降、振幅の小さな微動が断続的に発生。
・03/09 01:45 △3月1日から続いていた火山灰を噴出する噴火が停止。
    10:10 産業技術総合研究所が、火口の北西側へ流出する溶岩流を確認。
    13:05 △噴火が再び発生。
    18:00 高千穂河原観測点の傾斜計で、新燃岳方向がわずかに隆起する傾斜変動を確認。
・03/10    ▲未明に爆発的噴火2回。大きな噴石が火口外へ1800mまで飛散。噴煙は火口縁上4500mに。噴火の前後で、山体が隆起沈降する変動を観測。
    05:05 【火口周辺警報切替発表】レベル3は継続、噴石の警戒範囲を火口から概ね4kmに、火砕流の警戒範囲を火口から概ね2kmに拡大。
        霧島市牧園町から実施した地形の観測で、火口北西側へ流出した溶岩が、1日で約6m流下しているのを確認。
        現地調査で、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日あたり900tに。
    18:11 ▲爆発的噴火で、大きな噴石が火口外1600mまで飛散。噴煙高は火口縁上2800mに。
・03/11    上空観測で、火口の北西側から幅約200mにわたって溶岩が流下しているのを確認。赤外熱映像装置による観測では、火口の北西側で溶岩の流下により、わずかに熱異常域が拡大。
・03/12    高千穂河原観測点の傾斜計で、9日18:00頃から新燃岳方向がわずかに隆起する傾斜変動がみられていたが、12日07:00頃から停滞。
・03/13 11:15 火山噴火予知連絡会見解「当面は爆発的噴火活動が継続の見通し」
・03/15 11:00 【火口周辺警報切替発表】レベル3は継続、噴石の警戒範囲を火口から概ね3kmに、火砕流の警戒範囲を火口から概ね2kmに縮小。
    14:13 ▲爆発的噴火。
・03/25 07:35 ▲爆発的噴火、噴煙高は火口縁上3200m、大きな噴石は火口外800mまで飛散。

・04/02 18:00 高千穂河原の傾斜計で、山体がわずかに隆起する傾斜変動を観測。
・04/03    火山性地震増加、継続時間の短い火山性微動も発生。
・04/05 03:31 ▲11日ぶり爆発的噴火(2018年48回目)、噴煙高は今回の火山活動で最高の8000mまで上がったとの推定も。降灰は熊本県人吉市、宮崎県門川町、宮崎市など広範囲で確認。ごく小規模な火砕流が火口中心から南東側へ約800m(火口縁から約400m)まで流下、大きな噴石は火口外1100mまで飛散。
・04/06 10:38 △噴火発生。

・05/02    03:00以降、火口北側2km付近を震源とする火山性地震が増加。
    20:45 北西の深い場所での変動と考えられる傾斜変動を観測。
・05/08    火口直下を震源とする火山性地震が増加、浅い所を震源とする低周波地震や、継続時間の短い火山性微動が時々発生。
・05/09    高千穂河原観測点の傾斜計で、新燃岳方向がわずかに隆起する変動を観測。
・05/14 14:44 △38日ぶり噴火。噴煙高度は火口上3300mに。

・06/22 09:09 ▲78日ぶり爆発的噴火。噴煙高度は火口上2600m、弾道を描いて飛散する大きな噴石も火口から1100mに。
・06/27 15:34 △噴火発生、噴煙高度は火口上2200mに。
・06/28 11:00 【火口周辺警報切替発表】噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引下げ、噴石の警戒範囲を火口から概ね2kmに、火砕流の警戒範囲を火口から概ね1kmに縮小。

◆用語解説:噴火警戒レベル
火山活動の状況に応じて警戒が必要な範囲や、とるべき防災対応を以下の5段階に区分して発表する指標で、避難や規制の対象地域は、地域の状況や火山活動状況により異なります。

・レベル5(避難)  :危険な居住地域からの避難等が必要。
・レベル4(避難準備):警戒が必要な居住地域での避難の準備、災害時要援護者の避難等が必要。      
・レベル3(入山規制):登山禁止や入山規制等危険な地域への立入規制等。状況に応じて災害時要援護者の避難準備等。
・レベル2(火口周辺規制):火口周辺への立入規制等。
・レベル1(活火山であることに留意):状況に応じて火口内への立入規制等。

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