【MLB】ダルビッシュの復帰時期、球宴後が最適? 米メディア“進言”「100%の状態で」

カブス・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】

今週末にも復帰の可能性が浮上も…「オールスター終了後まで待たせる方が良い」

 右上腕三頭筋腱炎で今季2度目の故障者リスト(DL)に入っているカブスのダルビッシュ有投手が、今週末にも復帰する可能性が出てきている。ジョー・マドン監督は28日(日本時間29日)に予定されているブルペンでの投球練習後に判断すると説明。ただ、米メディアでは復帰時期についての見解が割れており、本人の精神面が鍵になるとの見方も出ている。

 ダルビッシュは25日(同26日)に1Aで負傷後初の実戦となるリハビリ登板に臨み、5回3安打1失点5奪三振無四球と快投。27日(同28日)にはキャッチボールを行い、28日(同29日)にブルペン入りする予定で、名将マドン監督は「木曜日(28日)に今後の予定がはっきりと分かることだろう」と説明している。状態が良ければ、今週末に復帰というプランを描いているようだ。

 しかし、本人はキャッチボールを行った27日(同28日)に「やばいでしょ。やばいでしょ、本当に察してください」と状態が良くないことを明かし、ブルペン入りについても「無理でしょ、あれ見てたら。あとで見てください。でも、いつも言ってるけど急に良くなったり、急に張ったりというのがある。できる限り治療とか全部やってちゃんとブルペン投げられたらと思ってます」と説明した。先のことも「全く分からない」としている。

「NBCスポーツ・シカゴ」のポッドキャストでは、3人のレポーターがダルビッシュの今後について討論。ケリー・クラル氏は「ダルビッシュのオールスター前の復帰は(カブスにとって)とてつもなく好ましいことだ」と歓迎し、「カブスを担当している私としても、ホームのファンたちは彼がマウンドに戻ってくる姿を見たくてウズウズしていると思います。そうでなければ今シーズンは彼にとって完全に失敗だったと世間では感じ始めてしまいます」と加えた。

 一方で、ルーク・ストックメイヤー氏は慎重さが必要であると言及。「オールスター前に復帰させて1度だけ登板し、再び何日も休みを取ってオールスター後に投げさせるのか。それとも100%健康な状態にしてオールスター期間後了後に復帰するのか。私だったら、彼をオールスター終了後まで待たせる方が良いと考えています」。慌てることなく、万全の状態でオールスター後に復帰させるのがベストなシナリオだとしている。

「マウンドに復帰する前に、メンタル的な難しさをしっかり乗り越えなければ」

 不安もあるという。トニー・アンドラッキ氏が指摘しているのは、痛めているのが右上腕三頭筋であるという点。4週間前にMRI検査を受け、異常が見られない中、マイナーで圧倒的なピッチングを披露したダルビッシュは「自信なさげだった」という。「まだ痛みがあるかのように感じました」とも言及している。

 ダルビッシュが2015年に右肘靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けたことに触れつつ、アンドラッキ氏は「彼は上腕三頭筋の故障が肘に関係しているのではという不安を感じていました」と言及。そして、「今回の上腕三頭筋の問題はどちらかというと(肘よりも)肩に関係しています。ここで感じられるのは、彼はマウンドに復帰する前に、メンタル的な難しさをしっかり乗り越えなければなりません。カブスはこれまでに彼をサポートしてきましたが、どのように彼をその段階まで導けるのか私には、はっきりとわかりません」とも指摘した。あらゆる不安を取り除くことが重要だというのだ。

 アンドラッキ氏はさらに、開幕から苦しんだダルビッシュが、レンジャーズ時代にはほとんど経験したことのない本拠地のファンからのブーイングをリグレー・フィールドで浴びたことも紹介。これもメンタル面への影響があると推測した上で、「しかしながら、彼はとにかくマウンドに上がり続けなければなりません」としている。

 オールスター後の復帰を勧めるストックメイヤー氏は「私なら彼に前もってこう伝えます。オールスター期間が終わったら100%の状態になっているから、まるで新しいシーズンであるかのように今シーズンのこれまでをリセットしなさい、と」と“進言“。そして、「カブスはダルビッシュの状態が良好でない限り、ワールドシリーズを制覇できるとは思えません」と付け加えた。

 万全の状態で復帰し、本来の力を見せつけることができるのか。指揮官、チームメート、そして、ファンは「最高のダルビッシュ」を待ち望んでいる。

(岩国誠 / Makoto Iwakuni)

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