佐世保港の三浦岸壁延伸完了 来月から16万トン級相次ぎ入港 消費拡大の準備着々

 佐世保港にある三浦岸壁の延伸工事が完了し、7月1日から16万トン級の大型クルーズ客船の受け入れが可能になる。1日には早速16万トン級の客船が入港。2、3の両日も10万トン級以上の客船が相次ぎ停泊する。1~3日の乗客数(定員数)は1万3305人に上り、多くの観光客が上陸する。中心商店街は乗客のほか、港周辺に滞在する時間が長い乗組員もターゲットに消費拡大を図る準備を進めている。
 佐世保市は客船の大型化に対応するため、2016年度に三浦岸壁の延伸工事に着手。10万トン級の停泊が限界だった岸壁を100メートル延ばし、全長は370メートルとなる。
 観光客の急増を見据え、市は5月末に官民組織「佐世保港クルーズ船ウェルカム協議会」を設立。6月22日には、商業環境整備や周遊促進などに取り組む専門部会が初会合を開き、行政や商店街の担当者が受け入れ対策を確認した。
 一方、乗客の多くは入港後に大型バスで市外の観光地や免税店に向かい、市内での消費は少ないという指摘がある。
 そこで、協議会は客船の乗組員に注目。市によると、18年度(120隻予定)は乗客25万5千人とは別に、9万3500人の乗組員が訪れる。1日に入港する客船にも乗組員が1500人同行。「乗組員の約4割は寄港地で休暇を取っており、移動も港周辺にとどまる傾向がある。乗客より少ないが魅力的な観光客になる」(市観光課)。
 三ケ町や四ケ町などの中心商店街は1~3日に、佐世保港と商店街、大型商業施設「させぼ五番街」を巡回する無料シャトルバスを運行。主に乗客向けのサービスだが、乗組員にも利用を呼び掛ける。
 このほか、商店街の店頭にはワゴンを並べ、衣料品や雑貨、飲食料品などを販売する。英語と中国語で表記する商品案内には乗組員を歓迎するマークも掲示。特別割引や三川内焼の「はまぜん」などのプレゼントも企画している。
 商店街でバッグ店を経営する市商店街連合会の竹本慶三会長は「乗組員は仕事で再び来港する可能性があり、リピーターになりやすい。佐世保のファンを増やし商店街全体の活気につなげたい」と話している。

延伸工事が完了し、16万トン級の大型クルーズ客船の停泊が可能になった佐世保港の三浦岸壁
クルーズ客向けのワゴン販売で使う商品案内を準備する竹本会長=佐世保市本島町

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