市役所移転「議決経ていない」 鎌倉市広報に市議反発

 鎌倉市は27日、深沢地域整備事業用地に移転する方針を示している市役所本庁舎の基本構想の検討状況について、市議会総務常任委員会で報告した。委員からは、方針の周知方法や市民の意見を構想に反映させるための手法に対し、見直しを求める意見が出された。

 市は5月号の広報紙で移転方針を市民に説明した際、1面に「市役所は深沢地域整備事業用地に移転します」と記載した。

 移転が決定したかのような表現だとして、高野洋一委員は「議会の議決を経ていない」と反発、出席した松尾崇市長に訂正を求めたが、市長は「行政としての方向性を知らせたもの。改めるつもりはない」と否定した。

 市は本年度に取りまとめる基本構想に市民の意見を反映させるため、無作為抽出した市民2千人から参加希望した約30人と5月から検討を始めた。

 これに対し、同委員は「移転は歴史的な事業。もっと多くの市民を巻き込み、多様な声を吸い上げる仕組みを構築するべきだ」と指摘。市長は「(昨年10月の)市長選で移転が争点となり、一定の結論が出た」とし、市民の意思は選挙を通じてある程度、示されたとの見解を示した。その上で「不十分なところは補い、多くの方の声をくみ取りたい」と述べた。市によると、今秋には公募の市民からも意見を聞き取る場を設けるという。

鎌倉市役所

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