電動GTの実戦車両『EPCS V2.3テスラP100DL』がバルセロナでシェイクダウン

 シリーズ創設ラウンチから長らくを経て、いよいよ今季11月から新シーズンが開幕となる電動ワンメイクGT選手権、EGT改めEPCSエレクトリック・プロダクション・カー・シリーズの開催に先立ち、エレクトリックGTホールディングスとSPVレーシングは、レース仕様の『EPCS V2.3テスラP100DL』のシェイクダウンを、スペイン・バルセロナで実施した。

 11月の初シーズン開幕を前に、スペインに本拠を置くSPVレーシングがデリバリーを受けたこの最初の“レース・レディ・バージョン”のテスラは、6月22日午前にバルセロナでシェイクダウン走行を行ない、LMP2やLMP3をメインに活動する同チームの女性開発ドライバー、エマ・キミライネンと、アルバロ・フォンテにステアリングが託された。

「私にとって、モータースポーツの発展の一部になれることは非常に光栄だわ。このシリーズは持続可能であるだけでなく、技術のテストとデモンストレーションにも非常に適している。また、ドライバーとしてEPCSレースカーの800馬力のパワーを体感できるのは最高の気分ね」と、シェイクダウンを終えたキミライネン。

 テストカラーをまとったこの『EPCS V2.3テスラP100DL』は、サーキットでも報道陣に公開されると、その後バルセロナ市街中心部で開催されたレセプション・イベントで公式にお披露目された。

 最初のシーズンに向け、同シリーズに参戦するすべてのドライバーにはこの仕様が供給され、そのパフォーマンスは最高出力778PS、最大トルクは995Nm、最高速は250km/hに制限されるものの、0-100km/h加速は2.1秒という驚異的なもの。ダウンフォース総量が大きく異なるとはいえ、動力性能だけを見れば日本のスーパーGT500クラスに匹敵するスペックを誇っている。

 さらに、FIA公認チャンピオンシップとなるEGTシリーズのCEOを務めるマーク・ゲメルは、ラウンチの席上でTBAとされていた最終戦の会場をアナウンスし、2019年10月の第10戦はイタリアのバレルンガでの開催となることを発表。記念すべき初シーズンは、スペイン、フランス、ドイツ、オランダ、イギリス、ポルトガル各国で全20レースが行われる。

 また同シリーズのレースカテゴリーには“エレクトリックGT eカーティング”と“エレクトリックGT eスポーツ”のふたつが併催され、バーチャルからリアルサーキットまでのシームレスな橋渡しを展開。EGT eSportsシリーズのプロモーターにはLVP(MEDIAPROによる、ビデオゲームリーグの専門家)が就任することも合わせて発表された。

 この『EPCS V2.3テスラP100DL』バーチャル版によるレースプラットフォームは、人気シミュレーター“アセット・コルサ”をベースに、公式サイト(http://electricgt.co/)からダウンロード可能となっている。

「今日はレース・レディ・バージョンのEPCS V2.3テスラP100DLをSPVレーシングに納入でき、またこうして多くのファンの目にマシンを公開できたことをうれしく思う。シリーズにとって非常に重要な1日になった」と語るのは、EGTホールディングスCEOのゲメル。

「数年がかりのプランニングとハードワークが結実し、今こうして現実にチャンピオンシップのアナウンスが可能になっている。このサラブレッドなレースカーを誇りに思うし、多くのファンや世界中に電動車両の挑戦と、そのスリルを提供できると思う」

「このレースカーが電気の未来に対する大いなる可能性を開き、完全にその時代の流れに従うことを示す良きショーケースになると信じている」

 新生EPCSは、この後シリーズのヘッドクォーター(HQ)に認定され、新たにE-サーキットとして改修を受けたフランスのポー-アルノーで10月26~27日にプレ・レースと称した練習ラウンドを開催。そして11月3~4日にはスペインのヘレス・サーキットでダブルヘッダーの開幕戦を迎える。

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