松陽産業、微細孔金属箔技術の独自加工でアート作品など新たな試み

 パンチングメタル最大手の松陽産業(本社・大阪市中央区、社長・竹内和彦氏)は、積極的に進めている微細孔金属箔技術の市場開拓で新たな取り組みを開始している。

 同社が開発している微細孔金属箔(マイクロカット・フォイル)は厚さ10~20マイクロメートルのアルミ箔や銅箔などに直径100マイクロメートル級の穴をメカニカルに開けたもの。穴を使って画像を表現するフリー・アート・パーフォレーション技術と組み合わせた分野では、従来の穴の有無で画像を表示することに加えて、新たに11種類の大きさの穴で微妙な濃淡表現が可能だ。さらに着色金属箔の色と穴を通して見えるLEDバックライトの表面色の色差を活用してLEDが点灯していない時でも画像を明確に認識できる手法を今年6月に公開した。

 また、化学的な溶解やレーザー、突き刺し法ではない独自の加工のため、平面状で微細なパウダーが得られることも特徴。このパウダーは円形だけではなく、例えばトランプ柄のような異形も可能で、これらを任意の位置に配置することもできる。同社はこの特徴を利用した試作品を製作し、X線を使った透過的な測定方法も含め、新たな真贋判定のコンセプト(素案)として提案している。

 加えて、この開孔技術はメカニカルな手法を用いるため、化学的に安定な金やチタンなどの元素やポリイミド樹脂などの樹脂にもシャープな輪郭の穴を施せることも特徴。「これまでに各種の研究機関や企業の研究開発部門からのお問い合わせをいただいているが、この特徴ある金属箔と微細な平面状金属パウダーについてさらにそのユニークな特性を生かしたアプリケーションを開拓して行きたい」と竹内社長は話す。

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