ダカール勝者カルロス・サインツ、2019年大会に向けトヨタ、ミニと交渉へ

 2018年のダカール・ラリーで自身2度目の総合優勝を果たしたカルロス・サインツが、プジョースポールのワークス活動撤退に伴い、2019年大会に向けTOYOTA GAZOO Racing南アフリカと、X-raidのミニと契約に向けた交渉を行っていることが明らかになった。

 現在56歳のサインツは、今年1月に開催されたダカール・ラリーの2018年大会で、最後のファクトリー参戦マシンとなった『プジョー3008DKR Maxi』をドライブし、2位のナッサー・アル-アティヤ(トヨタ・ハイラックス)に対して43分のリードを築いて総合優勝を果たした。

 WRC世界ラリー選手権でも2度のタイトル獲得経験を持つサインツは、来季のイベントに向け移籍先候補を探しており、その2位表彰台を獲得したTOYOTA GAZOO Racing南アフリカの『トヨタ・ハイラックス』か、長年トップランナーとして参戦し、総合優勝経験もあるX-raidの『ミニJCW(ジョン・クーパー・ワークス)バギー』をドライブするか、そのふたつを選択肢に挙げている。

 サインツはすでにこの春に、モロッコで両マシンのテストドライブを経験しており、その際のパフォーマンスには両チームとも感銘を受けたとし、どちらのチームへと加入するか、または完全に競技生活に別れを告げリタイアを決断するかは、サインツ本人の希望に委ねられている。

 TGRサウスアフリカの担当者は「サインツとのテストは本当にポジティブなもので、モロッコでのハイラックス4×4Evoの感触にも満足してもらえたと思う」とコメント。

「我々は現在も毎週のように彼と話し合いや交渉を続けており、彼の決断を待っているところだ」

 アル-アティヤと彼のチームメイトであるジニール・ドゥビリエ、ベルンハルト・タンブリンは、『トヨタ・ハイラックス』で挑んだ2018年大会で6度のステージ優勝を獲得。これは4台体制のワークスチームだったプジョースポールより、わずか1回少ないだけにすぎない好成績でもあった。

 一方、ミッコ・ヒルボネン、ブライス・メンジーズ、ヤジド・アル-ラジの3台体制でブランニューマシンを投入したミニは苦戦を強いられ、3台ともにトラブルを抱える結果となった。

 X-raidの代表を務めるスヴェン・クワントは、サインツとの交渉に関して明らかにしていないものの、FIAクロスカントリー・ラリー選手権の次戦はダカールに向けたテストイベントとして名高い7月開催の“シルクウェイ・ラリー”となり、このイベントには2018年大会で頭部に怪我を負ったホワン・ナニ・ロマも復帰参戦する見通しとなっている。

 一方、ダカールのオーガナイザーであるASO(アモリ・スポーツ・オーガニゼーション)は、ボリビアの撤退やチリとの契約交渉決裂を受け、2019年大会のルートを100%ペルー国内での開催とすると発表。

 しかし、ASOとペルー政府との間で交わされた合意は暫定的なもので、最終合意の期限は6月30日であることが判明。

 ペルー政府は開催権料として約600万ドル(約6億6000万円)をASOに支払うこととなっており、さらにインフラ整備や大会セキュリティ、ロジスティックの費用に約2500万ドル(約27億7000万円)のコストが必要になると試算されている。隣国アルゼンチン同様、経済危機にあえぐ南米ペルーはその経済的障害により、開催自体の現実度が懸念されている状況だ。

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