高プロ制度新設

 高度プロフェッショナル。響きはとても格好いい。「あなたは『高度』な『プロ』なんです」といわれたら、プライドをくすぐられてしまうかも▲しかし、いい気になって「制度」と名の付いたみこしに乗ると、足元をすくわれてしまうかもしれない。高プロ制度の新設を盛り込んだ働き方改革関連法が成立した▲高度な専門職の人が働く場合は労働時間を定める必要はないだろう-というのが、経営者側の立場。対象は研究職やコンサルタントのような高収入の働き手というが、長時間労働による過労死を招きかねない制度と懸念する声は根強い▲仕事を次々と与えられれば、責任感ある人は時間を忘れて没頭するだろう。顧客を相手にする仕事をしていれば、自分のペースで休むのもままならないことがある。彼らの心身の健康はきちんと守られるのだろうか▲また、自分は高度なプロではないと思っている人でも、この先どんどん法律の線引きが変更され、いつの間にか高プロの対象にされてしまうかもしれない。経営者から適用の打診を受けた時、嫌だと言える労働者がどれだけいるだろう▲職業人としてはプロでありたい。でも、高度プロフェッショナルという言葉からは距離を置き、この制度が本当に柔軟な働き方につながるのかをきちんと見定めたい。(泉)

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