秦野の遺跡から「国重文級」の土偶 縄文後期、ほぼ完全形

 かながわ考古学財団は29日、神奈川県秦野市菩提の菩提横手遺跡から、縄文時代後期のものとみられる土偶1体が出土した、と発表した。大型で自立し、内部が空洞の中空土偶で、ほぼ完全な姿で発掘されるのは珍しく、専門家は「国の重要文化財クラス」と高く評価している。

 同財団によると、同遺跡は約3500年前の住居跡で、新東名高速道路建設に伴い発掘調査が行われている。5月中に頭部と胴部、腰部などがそれぞれ離れた場所で相次いで発見。左腕部と左脚部は見つからなかったが、復元に成功した。高さ約25センチ、幅は推定で約12センチ。通常は高さが20センチ以下という。

 同様の土偶は県内では綾瀬市の上土棚南遺跡、平塚市の王子ノ台遺跡でも発掘されているが、顔や腰から下の部分がないなど、全身像は不明だった。それだけに全身像が分かる今回の土偶について、日本大大学院の鈴木保彦講師は「国の重文クラスの優品だ」とコメントしている。

 同財団は横浜市歴史博物館で7月3~8日、秦野市立桜土手古墳展示館で10月23日~11月4日、それぞれ土偶を公開する。

秦野市菩提で発見された土偶(かながわ考古学財団提供)

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