本当のグループリーグベストイレブンはこれだ!有識者による「W杯全試合採点」で決定

早いもので2018ワールドカップ(ロシア大会)も日程の半分が消火した。

日本代表がグループリーグを突破したこともあり、多くのサッカーファンが笑顔で日々を送っているのではないだろうか。

海外の日本代表最新情報、Jリーグ超ゴールはこちら

そして、ここからは決勝トーナメントだ。

命運をかけた一発勝負が繰り広げられ、強豪国の面々は「ここからが本番」と手綱を締め直していることだろう。

筆者はここまで全試合で独自に選手採点を行っているが、その結果を元に、ここではグループリーグのベストイレブンを選出してみたいと思う。

以降の試合での「注目選手」を見つけて頂ければ幸いだ。

注釈

※グループリーグ全3試合に出場した選手のみを対象
※GK1名、CB2名、RB1名、LB1名、DMF2名、OMF2名、FW4名で選出
※ポジションは登録ポジションではなく実際のポジションとする
※OMFは中央、サイドを問わない

GK部門

ギジェルモ・オチョア(メキシコ)

一時はパフォーマンスの低下を指摘されていた「メキシコの守り神」だが、これまでと同様にワールドカップが始まってみれば大活躍。図抜けたレスポンスと俊敏性を武器とするが、ここ数年で成長した感のあるポジショニングの良さも見られ、失点を許容範囲に抑えた。

今大会のメキシコは巧妙な戦術や前線の個人技に目が行きがちであるが、彼らが決勝トーナメント進出を果たした要因として、オチョアの存在があることは忘れてはならないだろう。

なお、次点はチョ・ヒョヌ(韓国)、ケイロル・ナバス(コスタリカ)、アリ・レザ・ベイランヴァンド(イラン)を選出。

この中で唯一オチョアのみがグループリーグの突破に成功しているため、便宜上、オチョアを最優秀選手としたが、数値でみると次点の面々も「6.5」でオチョアとの差はなし。ナバスに関しては「さすが」の活躍であったが、チョ・ヒョヌ、ベイランヴァンドは戦前の予想を上回る働きを見せた。

とりわけ、ベイランヴァンドは、現在自国クラブのペルセポリスに所属しているが、「欧州初挑戦」のチャンスが与えられるのではないだろうか。

一時はサッカー選手の夢を諦めホームレス生活もしていた苦労人だが、そこから努力を重ねてワールドカップ出場を果たし、クリスティアーノ・ロナウドのPKもストップ。「シンデレラストーリー」の続きが気になるところだ。

CB部門

シモン・ケア(デンマーク)

ディエゴ・ゴディン(ウルグアイ)

デンマーク、ウルグアイは今大会の参加国の中でも屈指の守備力を誇るが、重要な場面ではほぼノーミスのプレーを披露し、出色の活躍を見せたのが共にキャプテンマークを巻くこの二人だ。

さらにその貢献度は守備だけに止まらず、センターバックで唯一の「平均採点7.0」をマークしたケアは、精度、タイミング共に完璧なロングフィードで攻撃の起点に。ゴディンは攻撃の流れの停滞を読むと、機を見たオーバーラップでチームに喝を入れるなど、絶大な影響力を与えていた。

次点は、ゴディンと同点の「6.8」をマークした、スウェーデンの主将アンドレアス・グランクヴィストに。

「PK職人」として貴重なゴールも二つ上げたことで採点自体が上がった恰好だが、本業でもチームメイトをプレーで引っ張るアグレッシブなディフェンスで及第点以上の出来を見せた。

RB部門

ルイス・アドビンクラ(ペルー)

「ベストイレブン」という類は、決勝トーナメントに進出した国からピックアップされるのが世の常ではあるが、その常識を覆すプレーを見せてくれた男が発見された。アンドレ・カリージョとの縦関係によるペルー自慢の「ライトサイドアタック」を発動し、その破壊力でどのチームにも手を焼かせたアドビンクラだ。

今大会におけるサイドバックは、どちらかと言えば、「相手のサイドアタッカーを抑える」という守備面での活躍が目立つ選手が多い。しかし、アドビンクラはその真逆に位置し、「攻撃で相手のサイドアタッカーを封じる」という、サイドバックの理想とすべきプレーを見せた点も評価するべきだろう。

なお、次点は「6.5」の数値を残したミカエル・ルスティグ(スウェーデン)。プレー自体は地味であるが、まさに「いぶし銀」の働きを見せ、全3試合で難攻不落の守備陣を形成した点を評価した。

その後は、ヘンリク・ダルスゴーア(デンマーク)、クリスティアン・ガンボア(コスタリカ)、サンティアゴ・アリアス(コロンビア)、酒井宏樹 (日本)が続くが、「日本代表において最もベストイレブン入りに近づいた」のが酒井であった。

酒井はここまで柴崎岳と並びチームトップの「6.3」というハイスコアを叩き出しており、決勝トーナメント以降に日本の躍進があれば面白い存在になりそうだ。

LB部門

マルセロ(ブラジル)

その独創的なプレースタイルは、諸刃の剣ともいえるが、ここまでは全てが良いように回っている印象だ。

ネイマール、フィリペ・コウチーニョらとのコンビネーションで、ブラジルのメインウェポンである「左サイドを起点にした崩し」で重要な役割を担い、相手守備陣を自分のエリアに引き込んだ後に放つサイドチェンジも非常に効果的に行っている。

3試合目で腰の不調を訴えてピッチを退くなど、その後のコンディションが気になるところだが、彼が抜けるとブラジルの攻撃は変化を余儀なくされるだろう。

また、このポジションは「群雄割拠」とも言えるほど、各選手が軒並み高いスコアを残したことにも触れておきたい。

そのため、次点はアレクサンダル・コラロフ(セルビア)、ヘスス・ガジャルド(メキシコ)、フアン・モヒカ(コロンビア)、ルドヴィク・アウグスティンソン(スウェーデン)が並び、採点も「6.2」とマルセロとも大きな差は生まれなかった。

DMF部門

エンゴロ・カンテ(フランス)

イヴァン・ラキティッチ(クロアチア)

まだまだ不安定さが見られるフランス代表で最も安定した活躍を見せ、ピンチの芽をことごとく摘んだカンテ。

そして、守備では運動量とインターセプト能力を活かして奔走し、攻撃ではモドリッチらとのパス交換で攻撃のリズムを作るという難しいプレーをしながら、アルゼンチン戦ではダメ押し弾までマークしたラキティッチを選出することにした。

同点の「6.8」を残したカゼミーロはチームへの影響力を加味して次点に。その後は、ナイジェリアのボランチコンビ、ウィルフレッド・エンディディとオグヘネカ・エテボが「6.7」で続いている。

なお、1、2戦目で「7.0」という圧巻のパフォーマンスを見せたケヴィン・デ・ブライネは(ルール上)選考から除外したが、仮に3戦目にも出場していれば、トップに躍り出た可能性はあっただろう。

OMF部門

6.8 デニス・チェリシェフ(ロシア)

6.8 フアン・キンテーロ(コロンビア)

大会前にはホスト国でありながらグループリーグ敗退を予想する声も多かったロシア。だが、ここまでの彼らは、その大方の考えをかき消すかのごとく大躍進を見せてくれている。

そのきっかけを作ったのが、開幕戦でアラン・ザゴエフの負傷交代でチャンスを掴み、出場するやいなや1得点2アシストという圧巻のパフォーマンスを見せたチェリシェフであった。

アレクサンドル・ゴロヴィン(3試合目は温存されたために選考外)と共に一躍攻撃の核となると、続くエジプト戦でもゴール。3戦目は良いところがなかったが、結果的には高得点のままグループリーグを終えた。

そして、「大会中に大きく評価を高めた」ということであれば、彼も同様だ。チェリシェフと並ぶ「6.8」を残してベストイレブンに名を連ねたフアン・キンテーロだ。

ハメス・ロドリゲスの怪我で初戦の日本戦でスタメンに抜擢されると、退場者の発生で数的不利の中、壁の下を鮮やかに射抜くフリーキックで同点弾。ハメス復帰後も先発の座を維持し、続くポーランド戦、セネガル戦でもハイパフォーマンスを続けるなど、今やコロンビア代表における「最重要キーマン」となっている。

ちなみに、次点はイルビン・ロサーノ(メキシコ)、ヴィクトル・クローソン(スウェーデン)、アンドレ・カリージョ(ペルー)、ルカ・モドリッチ(クロアチア)、イヴァン・ペリシッチ(クロアチア)が「6.7」で続いたが、エデン・アザールは1、2戦目の平均採点で「7.8」を記録。3戦目では温存されたため、やむを得ずの選考外とした。

FW部門

クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)

フィリペ・コウチーニョ(ブラジル)

数多のタレントがひしめくポジションであるが、グループリーグの大一番であるスペイン戦でチームを救うハットトリックで「神」となったロナウド。また、スイス戦、コスタリカ戦で値千金のゴールを上げ、今大会のブラジル代表における主役となった感すら漂うフィリペ・コウチーニョを選んだ。

なお、次点には、「繋ぎ」、「崩し」、「フィニッシュ」の三役を高レベルでこなし続けたイスコが「7.0」。ロナウド、コウチーニョらのように得点やアシストが増えればトップの可能性もあったほど、特筆すべき輝きを放っている。

また、得点王争いでロナウドとデッドヒートを見せているロメル・ルカク、ハリー・ケインは共に「7.5」、「7.8」と高得点を残した、共に2試合の出場に終わったことでランキングからは外している。

© 株式会社ファッションニュース通信社