石木ダムの治水、利水効果疑問視 佐世保で講演会

 県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設問題を考える講演会が30日、佐世保市で開かれ、識者はダム建設の治水、利水両面の効果を疑問視し、「必要性はない」と指摘した。
 反対地権者が国に事業認定取り消しを求めた行政訴訟の長崎地裁判決(7月9日)を前に、建設反対の市民らでつくる実行委(松本美智恵委員長)が企画。市民ら約300人(主催者発表)が出席した。
 講演会では、河川工学が専門の今本博健・京都大名誉教授がダムの治水効果を検証。川棚川に対するダムの計画規模は過大とし、「非常に疑問がある」と述べた。一方、利水効果は、全国のダム反対運動ネットワーク組織、水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之共同代表が解説。人口減少などで水需要が減っているほか、市内の保有水源を過小評価していると指摘し、「石木ダムは無用の長物だ」と強調した。
 石木ダム対策弁護団の馬奈木昭雄団長も登壇し、訴訟の経過などを報告した。

治水効果などを検証した石木ダムを考える講演会=佐世保市平瀬町、市民文化ホール

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