マンガン合金鉄価格、海外で底入れムード 中国で需給引き締まり、金属マンガンは急上昇

 高値修正局面が続いていたマンガン系合金鉄の国際価格に底入れムードが出てきた。原料となるマンガン鉱石が反転し始めたほか、環境規制が続く中国で生産減に伴い需給が引き締まり始めたためだ。高張力鋼など高級鋼の添加原料として使われる金属マンガンは先月来、急速に値を上げている。マンガンは鋼材生産に不可欠な副原料だけに、今後、鉄鋼メーカーのコストにも影響を与えそうだ。

 マンガン系合金鉄の代表品種である高炭素フェロマンガンの国際価格(指標となる欧州市場価格)は足元で1トン1170ドル前後。主に電炉メーカーが使うシリコマンガンは同1100ドル強の水準。両品種とも4月以降、右肩下がりで推移していたが、ここにきて下げ止まりの兆しが出ている。

 特に底入れムードが強まっているのがシリコマンガン。欧州市場価格が1100ドル台なのに対し、生産大国の中国では「1300ドルを超える成約が出始めている」(市場関係者)。中国では、環境規制の強化が続いており、中小メーカーの生産減に伴い需給が引き締まっているという。

 これに加え、原料のマンガン鉱石価格(対中価格)が7月積みで反転したことも価格押し上げに寄与。中国では、低品位の国内鉱石を敬遠し、高品質の輸入鉱石を使う傾向が強い。合金鉄の国内価格上昇に伴い、鉱石の手当てを増やすトレーダーやメーカーが増えているもようだ。

 一方、金属マンガンは上昇が急だ。中国品の足元の価格は1トン2350ドル前後。ここ3カ月で20%以上値を上げている。中国では、金属マンガンの最大手メーカーが大規模メンテナンスなどで生産を大幅にカット。北部の寧夏自治区にある同社は中国の生産シェアの5割を握っているとされ、同社の生産動向は価格上昇に直結しやすい。中国南部の金属マンガンメーカーも環境規制の影響を受けており、需給ひっ迫による価格上昇は先行きも続く公算が大きい。

 欧州・中国市場の価格は、日本のマンガン系合金鉄価格の指標となる。海外での価格上昇は早晩、日本にも波及する見通しだ。

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