長崎・男児誘拐殺害15年 安全なまちづくり誓う 現場近くに献花台 市民ら追悼

 長崎市で2003年、4歳男児が中学1年の少年(12)=いずれも当時=に誘拐、殺害された事件から15年となった1日、万才町の現場近くに設置された献花台と地蔵堂では市民らが花などを手向け、男児を悼んだ。
 午前8時半。市こども部の職員らが黙とうし、献花。馬見塚(まみつか)純治部長は「子どもたちが笑顔で健やかに育つことができる安全で安心なまちづくりを進めていく」と誓った。
 「衝撃的な事件だったので、毎年この時期になると思い出す。ずっとお参りに行きたかった。子どもたちには命の大切さを伝えたい」。小学4年と1年の娘とともに、初めて献花に訪れた佐世保市皆瀬町の介護福祉士、吉冨千恵さん(44)はそう語り、事件に思いを巡らせた。地蔵堂を設置した長崎市立山1丁目の井村啓造さん(71)は「いろんな人がお参りに来ている。遺族の気持ちを考えると設置してよかったのかと最初は考えたが、間違っていなかったと思う」と話した。
 事件を機に発足した県警の取り組みで、少年の非行防止活動に携わるボランティア「学生サポーター」の7人も訪れた。長崎純心大2年の平山瑚雪(こゆき)さん(19)は「(当時)被害男児と同じ年で、事件は小中学生の時に(少しずつ)報道で知った。言いたいことが言えない、悩みを抱えた少年に寄り添い、力になりたい」と決意を語った。
 事件は03年7月1日夜発生。少年が市内の家電量販店で男児を誘拐し、万才町の立体駐車場屋上から突き落として殺害した。長崎家裁は児童自立支援施設送致とする保護処分を決定した。
 献花台は2日午後2時半まで設ける。

事件から15年。市民らはそれぞれの思いを胸に静かに手を合わせた=1日午後1時32分、長崎市万才町

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