「潜伏キリシタン」世界遺産決定 観光振興へ環境整備を 長崎県内経済界 「県民一体で取り組む」

 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界遺産登録決定を受け、県内経済界からは、観光振興の起爆剤を得た喜びと、環境整備の必要性を再認識する声が聞かれた。
 県観光連盟会長も務める宮脇雅俊長崎商工会議所会頭は「長崎県に二つ目となる世界文化遺産が誕生し大変うれしく、誇りに思う。世界が認めた地域の宝に国内外から多くの方々が訪れ、地域の発展や活性化につながるよう県民一体となって取り組みたい」とコメントした。
 佐世保市には構成資産「黒島の集落」がある。佐世保観光コンベンション協会の飯田満治理事長は「五島列島や平戸とともに地域の誇りとして売り込んでいく。ただ、黒島天主堂は祈りの場でもある。観光客にその意味もきちんと理解してもらえるよう工夫しながら観光をPRしたい」と話した。
 五島産業汽船(新上五島町)は登録後の観光客増を見込んで昨年、福江-佐世保航路を開設。さらに長崎-天草航路も6日から4カ月余り試験運航する。野口順治社長は「ようやく、待ちに待った機会がやってきた。長崎-天草航路も予約が増えつつある。離島の住民と観光客が積極的に触れ合う状況をつくり、さらなる集客につなげたい」と言葉に力を込めた。
 日銀長崎支店の平家達史(さとし)支店長は、県庁のパブリックビューイングで登録決定の瞬間を見届けた。「審査で『観光客を受け入れる努力を求める』という意見もあった。各地に分散する資産をどう巡ってもらうか、交通インフラを含めて課題が多い。観光の産業化に向け登録はゴールではなく、スタート。議論が活発化しスピード感を持って対応が進んでほしい」と期待を寄せた。

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