タイ洞窟、奇跡の生存も救出に向け難題続出

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太田清

47NEWS編集長

太田清

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共同通信社入社後、広島支局、大阪社会部、外信部、経済部、ベオグラード支局、モスクワ支局、ローマ支局などを経て2016年より現職。イトマン事件、阪神大震災、コソボ紛争、ユーゴ空爆、モスクワ劇場占拠、アフガン紛争、ギリシャ財政危機、東日本大震災などを取材。

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2日、タイ北部チェンライ郊外の洞窟内を歩く救助チーム(タムルアン救助活動センター提供・AP=共同)

 タイ北部チェンライ郊外の洞窟で行方不明になっていた地元サッカーチームの少年12人と男性コーチ1人の無事が2日、確認された。不明から10日目の奇跡の生存確認に家族や捜索隊は喜びに沸いたが、洞窟内は水で満たされ泥なども流入するなど条件は厳しく、13人をいかに無事に救出するかという難題がなお待ち受けている。英BBC放送(電子版)の報道などから、脱出に向けて取り得る選択肢と、それぞれの課題を探った。 

 少年らが見つかったのは、全長約10キロの洞窟の中ほどにある水のない広い場所からさらに先へ約400メートル行った場所。 

 米国の洞窟救助隊関係者は、少年たちを潜水士とともに潜水させて救出するのが最も手っ取り早い救助策だと認めながらも「最も危険な方法でもある」と指摘した。洞窟に閉じ込められた少年たちの捜索には、地元タイのほか米国、英国、中国、オーストラリアなどの潜水士らが当たったが、経験豊富なプロの潜水士でも水や泥、石であふれた洞窟内の細い通路を通り少年たちのいる場所に到達するには数時間必要だった。内部は濁って視界は悪く、水の流れも速いことから救助隊はロープ伝いに洞窟内を進まなくてはならなかった。 

 潜水経験のない少年たちがうまく脱出できるかどうかは全く未知数だ。「まるでコーヒーの中」のような視界がほぼゼロの水中を潜水すればパニック状態に陥り、自分だけではなく同行する潜水士を危険に陥らせる可能性もある。 

 外部から岩盤を掘削し少年たちのいる場所に到達する方法もある。救助隊は洞窟内にたまった水を排出しようと、洞窟の一部に外から穴を開ける作業を続けてきたが固い岩盤に阻まれ難航。少年たちがいる場所に穴を通すためには、道なき森に道路をつくり重機を持ち込み設置しなくてはならない上、そもそも掘削地点を決めるためには洞窟と外部の位置関係を正確に知る必要があるが「簡単そうにみえて実は本当に難しい。干し草の中で針を探すほど困難だ」(米救助隊関係者)という。 

 チェンライ県の知事は洞窟内の水の排出作業を続けるとともに、潜水経験のある医師らを派遣して子どもたちの健康状態をチェックしたいと言明。「子どもたちの体力が許せば、洞窟から救出することになる」と語ったが、長期間にわたって食料の乏しい状況に置かれた子どもたちの健康状態は深刻な懸念材料だ。専門家は酸素が十分確保され水位上昇など差し迫った危険がなければ当面、食料や水、医薬品を運び込み様子を見ることも検討すべきだと指摘。だが問題は4日以降は豪雨が予想され、洞窟内の水位が再び上昇する恐れがあることで、救助隊は救出を急ぐか状況を見守るか難しい判断を迫られることになる。 (共同通信=太田清)