心の安らぎの場 教会を見て 出津教会堂の教会守 高橋渉さん(75)=長崎市西出津町=

 出津教会堂の教会守になって4年目。来訪者に「自由にご覧ください」と声を掛け、見学のマナーなどを伝える。頼まれれば教会や外海(そとめ)の歴史も話す。「誰に来てもらってもいい。来て、知ってもらえることがありがたい」と登録を喜ぶ。

「来て、知ってもらうことがありがたい」と語る高橋さん=長崎市西出津町、出津教会堂

 自らもカトリック信徒であり、外海の潜伏キリシタンの末裔(まつえい)だ。先祖たちは禁教の約250年間、苦労しながら信仰を守り通した。来訪者に「そうまでして(信仰を守って)何があるのか」と尋ねられることもある。「来世で永遠に生き続けることを目標に信仰を守ってきた」と思っている。
 キリスト教の伝来から繁栄、迫害、潜伏。そして復活して今がある。「信徒の心の安らぎの場として建てられた教会を見てほしい」と願う。
 教会を訪ねてくるのは観光客だけではない。心に何かを抱えていそうな人もいて、カトリックの祈りの作法を聞かれることもある。そんなときは「自分たちの立場でお祈りください」と勧めることにしている。
 教会堂周辺で草刈り機を担ぐ日もある。「せっかく来られるから、きれいにしとかんば」と話す笑顔に、奉仕ともてなしの心がにじむ

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