トラック架装品向け「アルミ押出材」、好調な需要に陰り 新排ガス規制が影響か

 トラック架装品向けのアルミ押出材需要に陰りが出始めている。この数年間、トラック買い替え需要などが下支えする形で高水準の引き合いが続いていたが、昨年新しい排ガス規制が導入されたことなどを受けて足元では調整ムードが漂っている。

 平ボディや箱型荷台(バンボディ)、ウイング車の荷台部分には、軽量で丈夫なアルミ合金製の押出形材が多く利用されている。日軽金アクトやUACJ押出加工などの押出メーカーが製造する押出材は、メーカーの直取引や流通を通じて車体メーカーに供給される。

 トラック架装品業界を取り巻く環境は、東京都などがディーゼル車の排ガス規制強化に踏み切った2000年代前半に出荷されたトラックが、10年以降に買い替え時期を迎えて需要が急増した。その後も震災復興需要や、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けた配送ニーズが拡大。さらに物流会社の収益力が向上したことも後押しし、トラック需要は長期にわたって継続することとなった。こうした環境下、押出メーカーやトラック関連商材を扱う流通・問屋の商いも好調を維持していた。

 しかしながら今春に入り、環境が一変。17年度後半から新たな排ガス規制〝ポストポスト新長期規制〟(平成28年排出ガス規制)の運用がスタートし「新車の購入費用が相対的に増加することを嫌気してトラック需要に陰りが出た」(日本自動車車体工業会)とされ、それが「ついに(好況だった)トラック架装品需要に終わりが見えてきた」(流通筋)との声につながったようだ。実際に大手押出メーカー幹部からも「トラック架装品向けの仕事に繁忙感が弱まってきた」と押出材の出荷量が減少していることが示唆されている。

 日本自動車車体工業会がまとめた17年度の平ボディ、バン、トレーラの合計生産台数は8年連続の増加を記録した。好調な需要が続いているように見えるが「トラックなどは受注から生産までにタイムラグがあるため、需要の減少が台数として顕在化してくるのは今年度からではないか」(日本自動車車体工業会)と指摘している。

 架装メーカーは現時点で昨年度中の受注残を多く抱えていることもあり、「まったく材料が動いていないということではない」(流通筋)様子だ。それでも「新規の架装品需要の一服感がどの程度長引くかは不透明」(同)とし、警戒感を強めている。

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