近鉄ドラ1のDNAを受け継ぐ新鋭 侍J女子日本代表最年少が走攻守で存在感

侍ジャパン女子代表の強化合宿で奮闘している田端凜々花【写真:石川加奈子】

中学時代は二塁手、高校入学後に本格的に捕手を務める

「第8回WBSC女子野球ワールドカップ」(8月22~31日、米国フロリダ)で6連覇を目指す侍ジャパン女子代表で、17歳の田端凜々花捕手(折尾愛真高)が奮闘している。先月29日から新潟県新潟市の「HARD OFF ECOスタジアム新潟」で行われている強化合宿では、捕手のほかに左翼も守り、強化試合では3試合でクリーンアップに座った。

「6番・捕手」で出場した30日のU18強化プログラムチーム(マドンナスターズ)戦、「5番・中堅」で出場した2日の開志学園高戦でともに先制打を放つなど勝負強さを見せている。

 2001年4月1日生まれで、代表に初選出された高3トリオの中でも最年少。選ばれたと知った時は「エー! 嘘やんと思いました」とあどけない顔をこぼしていた。トライアウトを初受験した時から憧れていたジャパンのユニホームに袖を通した今は「うれしいですし、重いです」と責任の重さを噛み締めている。

 福岡福津ボーイズでプレーしていた中学時代は二塁手。高校入学後に本格的に始めた捕手が楽しくて仕方がない。ワールドカップで2大会連続MVPに輝いた里綾実投手(愛知ディオーネ)や女子プロ野球リーグで防御率トップの谷山莉奈投手(埼玉アストライア)ら一流投手のボールを受け、木戸克彦ヘッドコーチから様々な技術論を教えてもらっているからだ。

打席に立てばフルスイングが信条「スイングで流れが変わる」

「送球にもいろいろなステップがあって、二塁への送球でも3個ぐらいあるんです。今まで考えたこともありませんでした。でも、まだものにできていないので、練習しなきゃいけないです」と嬉しそうに語る。

 物怖じせず年上の相手に質問できることは強み。新しい知識を柔らかいスポンジのようにぐんぐん吸収している。世界一の投手である里からは投手心理を学んだ。「周りは打たせろと言うけど、ピッチャーだって打たせたいんだよ」という里の言葉を聞いて、ハッとした。「そういう時にどういう言葉をかけたらいいのか考えています。ピッチャーに気持ちよく投げてもらえるように」と素直に答えを探る。

 打席に立てば、フルスイングが信条。「全力で振るだけ。中途半端だと、勢いづけられない。スイングで流れが変わることもありますから。とにかく元気で全力です」と笑う。1965年ドラフト1位で投手として近鉄に入団した祖父の田端謙二郎さんのDNAを受け継ぐ。167センチと恵まれた体格に野球センスも抜群だ。「打っても走っても守っても器用でオールマイティ。たくさんいい勉強をしてほしい」と橘田恵監督が寄せる期待は大きい。

 日本がワールドカップで初優勝した2008年には7歳だった。そこから連覇をつみ重ねてきた代表に初めて加わる。「もしこの代で負けたとなれば、この代は弱かったということになる。そこにいたとなるのは嫌。絶対に6連覇したいです」と負けず嫌いの一面ものぞかせた田端。怖いもの知らずの最年少らしく、思い切りの良さでチームに貢献する。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

© 株式会社Creative2