横山興業、細抜プレス加工技術を開発 車部品など、量産、コスト減可能に

 中部地区カラー鋼板流通および自動車シート部品メーカーの横山興業(本社、愛知県豊田市、社長・横山栄介氏)は、厚板の高精度量産プレス新技術「SFP(スマート・フォージ・プレス)工法」を応用した細抜(細幅)プレス加工技術を開発。従来、レーザ・切削加工で対応していた形状が、プレス加工による量産対応が可能となり、かねてより目標にしていたSFP加工品の売上高を、20年度に年6億円達成に弾みがつきそうだ。

 SFP工法は、同社と金型メーカーが技術提携して開発したプレス加工技術で、同社の自動車シートフレーム部材の加工で培った技術と、金型メーカーが有する応力分散、LAP(磨き)技術の融合で金型を改良し、断面が鏡面に近い高面粗度全せん断加工を一般プレス機で実現した工法。新たに開発した細抜きプレス加工技術はSFP工法で培った金型内での独自の材料流動技術を応用したもの。

 同社によると通常のプレス加工であれば、細抜き加工をする際は、母材板厚に対し2倍以上の抜き加工幅が必要とされる。2倍以下になると、加工後に加工品に曲がりやねじれなど大きな歪みが生じやすい。このため、レーザや切削などの機械加工に頼らざるを得なかった。

 新技術を適用すれば、SPCC(冷間圧延鋼板)もしくはSPHC(熱間圧延鋼板)材であれば、試作段階で板厚に対し2分の1の細抜き加工が可能となった。従来プレス加工では対応できなかった形状にまで、適用加工範囲が拡大するため、大幅なリードタイムの短縮、コスト低減も実現できる。また、ワッシャー形状であれば、平行度はプラスマイナス0・1ミリ以内に抑えられる。SS400やSUS304、ハイテン60キロ鋼にも新工法を適用できる技術の開発を進めており、自動車・工作機械部品、建築部材向けへの拡販を目指す。

 同社はカラー鋼板の加工・販売を手掛ける建材事業や太陽光発電事業のほか、自動車シートフレーム(座席躯体)部品のプレス、溶接加工をメーンに行う自動車事業を擁する。

© 株式会社鉄鋼新聞社