川原慶賀の出島びょうぶ絵発見 オランダ 長崎港を緻密に 個人所有を博物館が購入

 オランダのライデン国立民族学博物館は3日までに、江戸後期の長崎で活躍した絵師、川原慶賀(1786ごろ~1860年ごろ)のびょうぶ絵「長崎湾の出島の風景」を同国で発見したと明らかにした。慶賀のびょうぶ絵が見つかったのは初めて。長崎港が緻密に描かれており、同館は所蔵する世界最大の慶賀コレクションの中でも「目玉になる傑作」としている。
 びょうぶ絵は八曲一隻で、縦171センチ、横470センチ。絹の上に、長崎港を俯瞰(ふかん)して出島や新地、大浦、港に浮かぶ船などが丹念に描かれている。出島で西洋絵画の技法を学んだ慶賀の卓越した技術がうかがえる。
 これまで、びょうぶ絵の存在は知られておらず、100年以上個人所有されていたのを同館の前学芸員が発見。同館が購入した。5日から約2週間、同館で特別に一般公開し、その後修復作業に入るという。
 長崎史談会の原田博二会長は「新地や唐人屋敷、大浦一帯まで正確に描かれ、19世紀中ごろの長崎を描いたこれ以上の資料はない。どのようにして長崎から持ち出したのかにも興味がある」と話している。

新発見の川原慶賀のびょうぶ絵「長崎湾の出島の風景」(René Gerritsen撮影、ライデン国立民族学博物館提供)

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