昭和電工、半導体向け高品質エピウェハーの生産能力を追加増強

 昭和電工は3日、パワー半導体の材料である炭化ケイ素(SiC)エピタキシャルウェハー(エピウェハー)の高品質グレードエピウェハー「ハイグレードエピ(HGE)」の生産能力をさらに引き上げると発表した。需要が急増するSiCパワー半導体市場に対応するため、秩父事業所で生産設備を増強。19年2月には、生産能力を3割増の月産9千枚まで高め、需要の獲得を急ぐ。

 SiCパワー半導体は、現在主流のSi(シリコン)製に比べ耐高温・耐電圧・大電流特性に優れた半導体で、電力制御に用いるモジュールの軽量・小型化と省エネルギー化に貢献することから、次世代パワー半導体として注目されている。新エネルギーの分散型電源やデータセンターのサーバー用電源、鉄道車両のインバータモジュールに加え、急速に伸長する電気自動車市場においても、車載充電器や急速充電スタンドでSiCパワー半導体への切り替えが進んでいる。

 昭和電工のSiCエピウェハー事業は、業界最高水準であるHGEの欠陥密度の低さと高い均一性において高評価を得ており、2017年9月と18年1月の2回にわたって生産能力の引き上げを決めていた。しかしながらパワー半導体市場の急成長に伴うユーザーからの旺盛な需要に対応するためさらなる投資を決定した。

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