かくれキリシタン・指導者たちの思い 新上五島町桐古里郷の坂井好弘さん(62) 「静かに信仰していく」

©株式会社長崎新聞社

 長崎県新上五島町の桐古里地区には27世帯、70~80人のかくれキリシタンが生活している。
 結婚後に仏教から改宗した9代目の大将(代表者)、坂井好弘さん(62)によると、信仰解禁前の明治初期ごろには約300世帯いた。今でも「かくれ」の洗礼を受ければ、信者になれる。ただ、「信徒は減っているが、増やそうとしているわけではない。自分たちが静かに信仰していければそれでいい」と冷静に現状をみている。
 先代の大将が病に倒れ、坂井さんが50歳の時、後継者として白羽の矢が立った。その荷の重さに何度も断ったが、「信仰を絶やしてはいけない」との思いで引き受けた。現在、かくれ信者が集まるのはクリスマス、復活祭、作祭りの年3回。盆と年末年始には坂井さんが信者の全世帯を回り、オラショを唱えている。
 信者が亡くなると仕事を中断し、すぐに葬儀へ向かう。苦労は少なくないが「中途半端なことはできない。一生懸命やらなければ祈りは届かない」。ゆくゆくは、この役職を長男に引き継ぐつもりだ。
 厳しい弾圧に耐え、信仰を守り抜いた祖先たちの生きざまが世界遺産として認められた。「自分たちは教会に通う習慣はないし、特に思うところはない。ただ、登録で観光客が増えれば生活の糧につながるのでありがたい気持ちもある」

かくれキリシタンの現状について語る坂井さん=長崎県新上五島町桐古里郷