「数時間から1日」事業が止まった アンケート結果から読み解く大阪北部地震への対応の課題(第3回)

アンケート調査は、6月22日~29日までの1週間、リスク対策.comのメールマガジン購読者で、今回の地震で震度5弱以上を観測した自治体に何らかの自社施設を有する企業を対象に行い、148の有効回答を得た(全回答173のうち、震度5弱以上を観測した自治体に自社施設がないとした回答などは除いた)。
回答企業は、上場企業と非上場企業がほぼ半数で、企業規模では1000人以上の企業が約6割を占めた。業種別では製造業が35%と最も多く、次いで情報通信業および卸売・小売業(それぞれ13%)、サービス業(9%)と続く。また、今回の地震で震度5弱以上を観測した地域(市町村)にある自社施設は、支社・支店が63%と最も多く、次いで営業所・販売所が30%、本社・本店があるとした回答は22%だった。

 

6月18日(月)に大阪北部で発生した地震に関する企業へのアンケート調査(有効回答数148)で、自社施設への物理的な被害状況を聞いたところ、「まったく被害がない」が54.1%と最多で、次いで「数時間~1日は使用(稼働)できない」が35.1%と、大半を占めた。ただし、数社からは「1週間を超えて使用できそうにない」との回答もあり、一部で大きな影響が出ていることを裏付けた。

具体的に生じた被害については、エレベーターの停止が31.1%と最多で、次いで、天井や壁など施設の非構造体に被害が27.7%、棚からの物の落下が25.7%で、これらが他の項目に対して突出して高かった。

一方、事業活動への影響については、「数時間~1日中断した」が56.8%と最多で、「まったく被害がない」(34.5%)を上回った。

写真を拡大 「まったく被害がない」が最多だったが、「数時間~1時間は使用(稼働)できなかった」が次いで多かった。

写真を拡大 その他としては、立体駐車場の被害、水道管の破裂、設備の安全停止など

事業活動への影響は「従業員」の出社・移動

事業活動への影響については、「数時間~1日中断した」が56.8%と最多で、「まったく被害がない」(34.5%)と合わせると9割以上になる。ただし、「1日から3日は中断した」(4.1%)、「3日から1週間中断した」(2%)もあり、やはり一部で大きな被害が出ていることがわかった。これらの回答結果については、BCPの構築状況(※)による相関は確認できなかった。

※BCPの構築状況
「1.BCPは策定していないし、策定する予定もない」「2.BCPは策定していないが策定中・策定予定」「3.BCPは策定したが一度も見直していない」「4.BCPを策定し、非定期ではあるが見直し訓練を実施している」「5.BCPを策定し定期的に訓練・見直しを実施している」の5段階の中から選んでもらった。

具体的に事業に生じた影響については、従業員の出社遅延(89.2%)、交通機関の麻痺による移動の制限・遅延(71%)、帰宅困難者の発生(31.1%)、従業員の不足(26.4%)といった、従業員に関することがほとんど。自由回答でも改めて紹介するが、「出社途中の社員に対して、帰宅の指示ができなかった」「電車の中にどの程度の社員がいるのか把握できなかった」なども課題もあったようだ。

写真を拡大 事業活動への影響では、「数時間~1日停止」が最多。物的被害がなくても事業活動に影響が生じた

写真を拡大 具体的に事業に生じた影響

次回以降、大阪府北部地震における企業の対応の課題について詳細を見ていく(続く)。

第1回:BCPの構築レベルによって課題に格差
第2回:BCPを定期的に見直している企業ほど効果を感じた

<本調査結果のサマリーは、7月10日より無料ダウンロードいただけるよう準備を進めております。また8月上旬には今回の地震に関するセミナーを開催する予定です>

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