関節リウマチ薬物治療 生物学的製剤で進歩

 関節リウマチ治療の4本柱の一つが薬物治療です。研究の進展で生物学的製剤をはじめ、新しい治療薬が次々に登場し、治療は革命的に進歩しています。熊本整形外科病院(熊本市中央区)の友田邦彦・熊本リウマチセンター長に、進歩した薬物治療の意義などを解説してもらいました。(高本文明)

 -前回、関節リウマチ治療の4本柱として、患者教育、リハビリ、薬物治療、手術を挙げていただきました。

 「3本目の柱が薬物治療です。薬物治療は、パラダイムシフトが起きたといわれており、革命的に進歩しています」

 -以前の治療はどうでしたか。

 「かつて治療の目標は、関節の痛みや腫れを軽減することでした。1970年ごろから行われていたピラミッド療法では、痛み止めを最初に使い、病状が進行するにつれて、抗リウマチ薬、ステロイド、免疫抑制剤を追加していくというやり方でした」

 -現在はいかがでしょうか。

 「現在は早期診断、早期治療が基本です。治療の中心となるアンカードラッグとして、診断後3カ月以内の早期から、合成抗リウマチ薬のメトトレキサート(MTX、商品名リウマトレックス)を使います。それでも病気の活動性や勢いが抑えられず効果が不十分な場合は、腫瘍壊死[えし]因子(TNF)という分子と結合して作用を抑制するTNF阻害薬を中心とした生物学的製剤を使うことが、ガイドラインで推奨されています」

 「発症の最初の段階から新しく開発された薬を駆使して治療していくようになり、治療の考え方が、ひっくり返ったんですね。これが“革命”と言えます」

 -なぜ、それほどの“革命”が起きたのですか。

 「ごく簡潔に言いますと、関節滑膜の複雑な免疫機序の解明が進歩したからです。リウマチの主な病巣は、関節の滑膜の部分です。発症には諸説ありますが、滑膜に未知のウイルスが侵入したとします。すると滑膜にリンパ球が集まってきて、複雑な免疫システムが作用した結果、慢性炎症が起きるんです。最終的に、異常に繁殖した滑膜(パンヌス)が骨・軟骨(関節)を壊します」

 「最近分かってきたのが、細胞が分泌するタンパク質であるサイトカインの働きです。細胞と細胞の間の連絡を取り合う伝書バトと考えたらいいでしょう。いろんな伝書バトがいろんな指令をいろんな細胞に出します。サイトカインはネットワークをつくって生体の反応のバランスを保っています」

 「ところがリウマチの関節滑膜では、悪玉のサイトカインが異常に活性化して炎症を強く起こしています。そこで悪玉サイトカインを一つ一つつぶしていくために開発されたのが生物学的製剤です」

 -生物学的製剤の効果は。

 「生物学的製剤は、生体が作るタンパク質を応用して遺伝子工学を駆使して作られた分子標的治療薬です。関節炎や身体障害を改善させるだけでなく、関節破壊の進行を阻止したり、関節破壊を修復させたりする効果があります。現在、関節リウマチに使用できる生物学的製剤は8種類あります」

 -早期に治療を開始する意義をあらためて教えてください。

 「患者さんの多くは発症後2年以内に関節破壊を生じます。しかも早期ほど関節破壊は進行し、いったん進行すると、もう戻りません。障害が生じた場合は健常な人に比べ、生命予後は10年以上短いのです。一方、関節炎を発症しても、単純エックス線撮影で骨の侵蝕[しんしょく]像が検出されないまでの期間に、抗リウマチ剤やTNF阻害薬などで積極的に治療すると、関節破壊に至らないことが分かっています。だからこそ早期に診断を受け、すぐ治療を開始すべきです」

(2018年7月4日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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