大切畑ダムの復旧本格化 19年度、本体着工へ

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復旧工事が本格化する大切畑ダム。現在は、雨水などで水位が上がりすぎないよう県が低水管理を続けている=西原村

 熊本地震で被害を受けた西原村の農業用ため池「大切畑ダム」の復旧工事がいよいよ本格化する。今春設置された県大切畑ダム復興事務所は、ダム本体の詳細な設計を進めており、10月には現地事務所も開設する。2018年度中に用地買収を終えたい方針で、19年度に本体着工し、完成は23年度の見通しだ。村の受益農家は完成までの間、限られた水をどのように活用するか検討を進めている。

 「水田はあるが、コメの作付けはできない。農家であっても、コメを買って食べる状況だ」。小森土地改良区(組合員約260人)の河上勝彦理事長は、現状を説明する。

 西原村は、益城町、菊陽町と合わせた受益3町村の中で、ダムを水源とする水田が唯一あり、ダムの利用水量も最大だった。ダム周辺の畑では昨年から、畑地かんがいが利用できるようになり、ニンジンやサトイモなどが作付けされたが、大量の水が必要なコメは作れないまま。農家は水田が荒れないよう管理する日が続いている。

 地震では、ダム本体である堤体の一部にひびわれが発生。堤体から水が漏れることはなかったものの、ダム送水管の一部が損傷し、鳥子川へ流れ込んだ。

 県は水を抜き、地震から約1カ月後の16年5月末には復旧工事の工法などを検討する専門の検討委員会を設置した。検討委は、ダム堤体の地下を横切る断層があることを確認し、現在地での復旧は困難と判断。堤体を上流側(南側)に270メートル移動させることを決めた。

 これに伴い、県は今後、林野や農地の用地買収に着手する。総貯水量は復旧前の最大85万トンから60万トンに減らす計画。総事業費は国が9割超を補助し、残りを県が負担するが、当初予定の64億円を上回る見込みだ。

 「ダムの構造や地質を検討し、工事の詳細な設計を進めている。早ければ10月にも開く委員会で内容を公表したい」とダム復興事務所。

 一方、西原村では現状の畑の作付面積やダム復旧後に必要な水田への給水量などの調査が本格化する。小森土地改良区の河上理事長は「水は限られており、まだまだ厳しい状況が続くが、ダムの完成を待つしかない」と話している。(田端美華)

(2018年7月4日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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