LEXUS TEAM SARD 2018スーパーGT第4戦タイ レースレポート

2018 スーパーGT第4戦『Chang SUPER GT RACE』(6/30~7/1)

DENSO KOBELCO SARD LC500

第4戦タイ、今季初優勝でランキングトップ浮上!

SUPER GT第4戦タイ レポート
チャン・インターナショナル・サーキット(1周4.554km)
入場者数:予選9417名、決勝2万219名 合計2万9636名

 7月1日(日)、スーパーGT第4戦『Chang SUPER GT RACE』の決勝が行われ、3番グリッドから発憤興起して勝利を目指してスタートしたDENSO KOBELCO SARD LC500は、スタート担当のヘイキがオープニングラップに17号車を3コーナー立ち上がりで抜き2位に浮上。トップ16号車の背後でチャンスを伺い、19周目の4コーナーにて華麗に仕留めトップを奪う。
 
 追いすがる2位となった車両を撥ね除け36周を終えピットイン。2位6号車がピットインした1周遅くセオリー通りピットインを敢行してミスなく可夢偉を送り出す。トップで戦列に戻った可夢偉は後方から襲いかかる6号車、その後2位に変わった36号車を巧みなライン取りでクレバーに抑え込む高度なテクニックを披露。
 
 緊迫したバトルがつねに続いていったが見事に封じ込めてトップチェッカー。DENSO KOBELCO SARD LC500は、持てる実力を遺憾なく発揮し素晴らしい速さを見せ、堂々の今季初勝利を飾った。
 
 ドライバーポイントでは20点を獲得(計35点)、チームポイントでは23点を獲得(計44点)し、ともにシリーズランキングトップに浮上し、最高の結果でシリーズ前半戦を締めくくった。次の長い500マイル(約800km)の距離で争われる第5戦は約1ヶ月後となる8月4日(土)・5日(日)に富士スピードウェイにて開催される。

■公式練習走行

 前戦鈴鹿ではまさかのリタイアを喫したDENSO KOBELCO SARD LC500。あれから6週間の長いインターバルで行われる今季前半戦の締めくくりとなる第4戦は、シリーズ唯一の海外戦でタイ・バンコクから東北東約400kmに位置するチャン・インターナショナル・サーキット(ブリラム県)が舞台。
 
 チャン(Chang)はタイのビールブランド名でありサーキットのネーミングライツ。昨年のラス前10月開催から7月開催と変更されたブリラムのこの時期も雨季であり、朝晩にスコールが降り湿気も多く、最高気温33度・最低気温25度ぐらいとほぼ日本の夏と同様。公式予選はノックアウト方式(Q1、Q2)で行われ、決勝は現地15時スタート(日本時間17時)の300km(66周)で、ピットストップは1回。ウエイトハンディは現獲得ポイントの倍となる30kgを搭載する。

 今季は浮き沈みの激しい前半戦となっており、後半戦に向けて表彰台で前半戦をしっかりと締めくくりたいところ。クルマの速さのレベルは上位陣と遜色ないが各車とも非常に拮抗しているため、今回も僅差の予選となるのは必至。コースは高低差がなくフラットでメインスタンドから見渡せ、右回り4.554kmのストップアンドゴーセクションと高速コーナーを複合させたテクニカルでチャレンジングなレイアウト。
 
 ピットはオートポリスと同じコース外側に位置し、左側からの給油となる。昨年は混乱の中でつねに攻める姿勢を貫いたタイラウンド。持てる実力を遺憾なく発揮すれば勝機は得られると、チーム一同、発憤興起して気持ちを奮い立たせて勝利を目指していった。

 30日(土)午前中の公式練習走行は、10時から気温30度/路面温度38度のタイらしい厳しい日差しが照りつける暑さのなかで開始。少し路面が落ち着くまで待機した後にヘイキがソフト系タイヤを装着してコースイン。最初のアウティングで途中トラフィックに引っかかりクリアラップではなかったが、まずは1分25秒463の4番手タイムを刻む。
 
 若干バランスに違和感があったが続いてミディアム系タイヤの確認を実施。14周目に1分25秒332とタイムを更新した。16周目からは可夢偉がドライブし、クルマの調整を施しながらヘイキが装着した2種類のタイヤを確認。可夢偉のコメントを元にさらにセット調整を進め、バランスも良い方向に進んでいった。32周目からふたたびヘイキがドライブしてブラッシュアップされたクルマのバランスを確認。ユーズドタイヤながらタイムを更新する速さをつけ8周ほど走行して公式練習走行の混走セッションを終えた。
 
 10分間のGT500クラス単独セッションでは可夢偉がアタックシミュレーションを行い、1分24秒198とタイムを削ってみたが13番手で終えた。まだまだタイムは伸ばせそうな感触の公式練習走行となり、トータル35周を走行して公式予選への準備を終えた。

DENSO KOBELCO SARD LC500

■公式予選

公式予選Q1:可夢偉が難しいセミウェットコンディションのQ1を7位で突破

 30日(土)公式予選開始直前にスコールが来襲。気温29度/路面温度35度と若干下がったコンディション。アタッカーの可夢偉がまずはハード系ウェットタイヤを装着してコースイン。3周走行したところでコースのライン上が乾き始める。
 
 素早い判断を下した可夢偉がすぐにピットインしてソフト系ドライタイヤに変更し、ふたたびコースイン。まだ滑りやすい路面のアウトラップでフィーリングに違和感を覚えたため、そのままピットインしてクルマを確認する思わぬ事態もあったが問題なかったため、セミウェットの難しいコンディションのなか、ドライタイヤでのアタックを続けた。
 
 そして迎えた最終ラップでセクター自己ベストを更新。一気に畳み掛けるかのようにフィニッシュラインを駆け抜けた可夢偉は1分28秒542のタイムで見事にQ1を7位で突破した。

公式予選Q2:ヘイキが渾身のアタックで3番グリッド獲得!  Q2は路面は乾いているがふたたびスコールが降りそうな暗い雲がある空模様で、気温27度/路面温度33度と下がっていく。Q2アタッカーのヘイキは、可夢偉と同じソフト系ドライタイヤを装着。完全ドライとなったコンディションであったが、ふたたび雨も降り出しそうな雲行きのため、開始と同時にコースイン。丁寧にタイヤを温め、4周目にこれまでのベストから大きくタイムアップする1分23秒676と全車の先頭を切ってのトップタイムをマーク。気合いの入れ込みようが、ひしひしとその走りから伝わってくるヘイキの渾身のアタックであった。
 
 心配された雨粒も路面を濡らすほどではなく、ライバル勢もまだまだアタックを続けておりクールダウンをした後に再度アタックを敢行したヘイキ。最終ラップ最終コーナーで若干雨の影響で滑り惜しくもポール獲得ならず。Q2はコースレコードを記録したヘイキの渾身のアタックで見事に3番グリッドを獲得した。

DENSO KOBELCO SARD LC500

■決勝

ウォームアップ走行

 1日(日)の天候は快晴に。気温31度/路面温度44度のコンディションのなかで、サーキットサファリが20分間実施。燃料を積んだ状態でもヘイキが良好なタイムを刻んで13周走行。続いて行われた20分間のウォームアップでも可夢偉が同様に好ペースで13周を走行。ひたむきに勝利を目指す決勝へ向けて準備万端に整えた。

決勝スタート

第1スティント:序盤、ヘイキが果敢にトップを奪う

 1日(日)15時決勝スタート時点は気温32度/路面温度47度の晴れ。3番グリッドから発憤興起して勝利を目指してスタートしたDENSO KOBELCO SARD LC500は、スタート担当のヘイキがスタート前のグリッド上で「すぐにトップを奪う」と力強く語っていた通り、まずはオープニングラップに17号車を3コーナー立ち上がりで抜き2位に浮上する。
 
 次のターゲットとなるトップ16号車を次第に追い詰めていき、背後でチャンスを伺う走りのヘイキ。19周目に3コーナー出口からバックストレートで16号車に並びかけると4コーナーにてインサイド側のヘイキが華麗に仕留めトップを奪う。追いすがる16号車を尻目にギャップを拡げていき、そして27周目から追い上げを見せる6号車が2位となりドッグファイトの接戦が続いていったが、見事に撥ね除け堅固な走りを続けるヘイキ。
 
 2位6号車がアンダーカットでピットインした1周遅く、セオリー通り対抗のオーバーカットで36周を終えピットインを敢行。同門対決の様相のなかで高度な駆け引きが繰り広げられていった。

第2スティント:巧みに後続を封じ込めた可夢偉がGT初勝利を飾る

 ミスなく落ち着いて可夢偉を送り出す。トップで戦列に戻った可夢偉はオーバーカットを成功させて後方から襲いかかる6号車を巧みなブロックラインを取り抑え込む。相手の得意な部分を見事に消し去り、並びかけられても決して隙を見せないという力強く動じないハートの強さを見せた。
 
 その後2位に上がって襲いかかってきた36号車も巧みなライン取りでクレバーに抑え込む高度なテクニックを披露。緊迫したバトルがつねに続いていったが見事に封じ込める可夢偉の真骨頂の走りが場内を沸かせた。全周に渡って緊張のバトルが繰り広げられたがトップを守り抜いた殊勲の可夢偉が自身のGT初勝利を飾るトップチェッカー。DENSO KOBELCO SARD LC500は、持てる実力を遺憾なく発揮し素晴らしい速さを見せ、堂々の今季初勝利を飾った。
 
 ドライバーポイントでは20点を獲得(計35点)、チームポイントでは23点を獲得(計44点)し、ともにシリーズランキングトップに浮上し、最高の結果でシリーズ前半戦を締めくくった。次の長い500マイル(約800km)の距離で争われる第5戦は約1ヶ月後となる8月4日(土)・5日(日)に富士スピードウェイにて開催される。

レース後コメント

ヘイキ・コバライネン

「カムイさんと一緒に勝つことができて本当にうれしい。決勝は、とにかく早いうちに前に出られればとプッシュしたんだ。うまくいってトップに上がった後に6号車がもの凄く速く追い上げてきて、非常にタフな展開になった。ある程度のギャップをつけていたし、クルマもガソリンが少なくなってきたところでペースも上がった」

「彼らが先にピットに入ったから、その周はフルプッシュして次の周にピットインした戦術もうまくいった。ランキングトップになったのは事実だけど、まだシリーズの半分が終わっただけ」

「次回からウエイトハンディがきつくなって厳しい戦いを強いられるけど後半戦もチャンピオン奪還を目指して頑張って戦い抜きたい。今回も応援が強い味方になった。富士でも熱い声援を糧に上位フィニッシュを狙って行くよ」

小林可夢偉

「このサーキットは初めてで、これまでいろいろあって走る時間が少なくて、久しぶりのGTドライブ。そんな状況だったので勝ててとてもうれしいですし、頑張ってくれたチームとヘイキさんに感謝したいです」

「決勝の自分のスティントは6号車、それから36号車と最初から最後まで長いバトルの連続でタフなレースでした。最後に雄飛と対峙することになった時、ターン1で僕の方が速かったので、そこだけは有利でしたね。あとはトラフィックを上手く使えたことも良かったです」

「GT300車両の処理とか分からない部分もありましたが、何とか抑えてビックポイントを獲ろうと一生懸命に走っていました。次回の富士ではウエイトハンディは厳しいですが長いレースでチャンスはあると思うので、ここでも勝てるようがんばります。引き続きご声援よろしくお願いします」

今季初勝利を飾った小林可夢偉とヘイキ・コバライネン

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