中山鋼業、鉄スクラップ予熱システム導入 製鋼用電力を20%超削減、35億円投資しコスト競争力強化

電炉、17日から1カ月半休止

 関西の電炉鉄筋メーカー、中山鋼業(本社・大阪市、社長・井手迫利文氏)は電気炉の電力コスト削減を目的にした省電力設備導入のため、7月17日から8月31日までの46日間、電気炉を休止する。設備投資により鉄筋メーカー国内トップ級のコスト競争力を狙う。

 製鋼電力量を20~25%削減できる電炉排ガス利用スクラップ予熱システムで国内初となる「エコアーク・ライト」(スチールプランテック製)の設置および付帯設備のリプレース工事を行う。総投資額は約35億円。

 電気炉休止期間中は、備蓄在庫した約4万5千トンの製品と、2万トン強の備蓄在庫ビレット圧延で製品出荷対応する。

 当面の生産計画は7月が16日までの製鋼が2万トン、製品圧延が2万トン。8月が製鋼ゼロ、圧延1万トン。9月は2日に竣工式を行い、製鋼で1万5千トンを計画。10月から製鋼・圧延ともに通常ペースの2万5千トン生産にしていく。

 「エコアーク・ライト」は電気炉で発生する約1千度の高温排ガスを利用して鉄スクラップを予熱しながら電気炉に投入する。電気炉に併設されたスクラップ予熱塔にクレーンと小バケットでスクラップを1時間に6~7回投入。電気炉は通常、冷鉄源を1600度の温度まで一気に上げて溶解するが、同予熱システムでは800度で事前予熱することで電気炉での1600度での溶解電力量が減少され溶解時間も短くなる。このため同社では、製鋼電力使用量を製品1トン当たり20~25%低減できると期待している。

 出鋼から次の出鋼までのタップ・トゥ・タップ時間も約15%短縮でき生産性も向上する見込み。また下級スクラップの配合率を高め、原料コスト低減も期待できる。スクラップ投入時の風塵ダストや煙の発生も抑えられ、炉前などの環境改善も図ることができる。

© 株式会社鉄鋼新聞社