スチールプランテック、ベルギーの総合重機メーカーと業務協力 高張力鋼市場向け冷延設備の営業強化

 製鉄プラント会社のスチールプランテック(SPCO、社長・灘信之氏)は4日、ベルギーの総合重機メーカー、CMIと業務協力協定を締結したと発表した。相互の保有製品の販売協力を行うなど技術的優位性を高めるほか、協定にはCMI傘下のインドの製造拠点の活用も含まれる。「当社の独自性を発揮でき、相互の冷延プロセス商品を補完し合えるパートナーとして適切と考えた」(灘社長)。最先端の下工程技術を駆使するなど協業効果により相互の売上高の10%以上の受注を目指していく。

 業務協力では特に高張力鋼市場向けの高品質な連続酸洗冷間圧延ラインなどに焦点を当て、マーケティング活動を協力していく。具体的に、CMIはSPCOのPLTCM用タンデム冷間連続圧延ライン、高張力鋼板用テンションレベラ、コールド・ホット厚板レベラ、「Zoom―Mill」(冷間レバース圧延機で先後端の非圧延部をリーダーストリップと溶接機で軽減する装置)について販売協力。SPCOはCMIのPLTCM用酸洗ライン、酸洗ライン用ポリプロピレンタンク、スプレー酸洗技術、塩酸回収設備、CGL用エアワイピング装置について販売協力する。

 CMIは1817年設立。世界5大陸の事業所で5500人以上がエンジニアリング、保守、国際プロジェクトの管理に従事している。直近(2017年)の売上げ規模は9億3400万ユーロ(約1200億円)で、防衛部門、エネルギー部門、産業部門、環境部門、サービス部門の5部門で構成される。製鉄関連設備は産業設備に含まれ、売上高構成比は15%程度とされる。日本向けには17年に新日鉄住金へ酸洗用タンクを納入した実績がある。

 現時点では、商品ラインアップの拡大やアフターサービスを含めたグローバル営業ネットワークの構築、開発など顧客提案力の強化、調達ネットワーク拡大によるコストダウンの実現などを企図しており、CMIとの事業統合や合併は考えていないという。また、SPCOは既にドイツの製鉄エンジニアリング会社、クットナーとの協業も行っているが、製銑分野を中心とした上工程が中心で、今回の協業は下工程が中心であることから協業範囲は重複しない。

 同社は厳しいグローバル競争を勝ち抜くため、今後も海外の優良企業とアライアンスを検討していく方針。灘社長は今回の合意について「顧客の工場がどこにあっても最適な技術を供給するというわれわれの長期戦略とまさに合致する協定だ」としている。

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