筑波鉄工、茨城に表面処理・塗装工場を新設 建機向け需要増に対応

 パイプの曲げ加工・油圧配管製造を手掛ける筑波鉄工(本社・東京都大田区、社長・小柳雅彦氏)は、茨城県常総市に加工配管の表面処理・塗装工程を行う「常総工場」を新設し、先月から稼働を開始した。これまで外注していたリン酸塩皮膜(パーカー)処理工程を内製化し、生産性を大幅に向上。今後見込まれる建機向け部材の需要増に対応する。

 同社の主力分野は建機向け油圧配管。パイプの口径と曲げ半径を1≒1の比率で曲げる「1D曲げ(極小R曲げ)」加工などを得意としている。

 1年ほど前から建機向け油圧配管の需要が増えてきて、本社工場は足元フル操業。今後も旺盛な需要が見込まれるが、本社工場は拡張の余地がないため、新工場の設立で増産対応を取る。

 「第二工場」は以前購入していた土地(3960平方メートル)と工場建屋(2178平方メートル)を利用。パイプの曲げ・溶接後の下工程を同工場に集約する。

 同社の加工する油圧配管部材はほとんどの場合、曲げ・溶接加工後に腐食防止・塗装下地用で表面に不溶性のリン酸塩皮膜を形成するパーカー処理を行う。これまでは本社工場のスペースの問題もあって、同処理は100%外注だった。新工場ではパーカー処理を内製化するほか、塗装工程、検品、マスキングまでの下工程を行う。設備は新設のほか、一部本社工場からも移設する。

 人員は本社工場からの転勤とインドネシアからの研修生、現地採用を含めて14人体制でスタート。同社の小柳亮介営業部長が工場長として常駐する。

 将来的には、常総工場で曲げ・溶接加工の上工程も行う方針。また、本社工場内の設備新設やレイアウト変更なども検討していく。

 筑波鉄工は、建機向け需要の好不調に左右されにくい体制を構築するため「太径の1D曲げ加工・少量短納期対応」の特徴を生かした新規需要分野の開拓を課題に挙げている。常総工場本稼働後は、産業機械やエンジ分野などでの売り込みにも注力していく方針だ。

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