友人が見た神経剤被害者の苦しみ

英南部、残留物に偶然接触か

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太田清

共同通信大阪支社統括整理部長

太田清

共同通信大阪支社統括整理部長

共同通信社入社後、広島支局、大阪社会部、外信部、経済部、ベオグラード支局、モスクワ支局、ローマ支局、47NEWS編集長などを経て2019年10月より現職。イトマン事件、阪神大震災、コソボ紛争、ユーゴ空爆、モスクワ劇場占拠、アフガン紛争、ギリシャ財政危機、東日本大震災などを取材。

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重体となった英国人男女2人の立ち寄り先とみられる英南部ソールズベリーの施設近くを歩く警察官ら=4日(ゲッティ=共同)

 英南部エームズベリーの住宅で意識不明の重体となった40代の英国人男女2人の中毒症状は、3月の元ロシア情報機関員襲撃事件に使われた旧ソ連の神経剤ノビチョクによるものだったことが分かった。2人は情報機関などへの関わりのないごく普通の市民で、何者かに狙われた可能性は薄く、3月の事件で使われたノビチョクの残留物に偶然、触れた恐れがある。BBC放送(電子版)などの英主要メディアが5日までに伝えた。 

 重体となった2人は、ドーン・スタージェスさん(44)=女性=とチャーリー・ロウリーさん(45)=男性=で交際中のカップル。元情報機関員襲撃事件の現場から約12キロ離れたエームズベリーで救急車により搬送された。 

 警察当局は3月の事件で除染対象となった区域に最近、2人が立ち入った情報はないと説明。2人は重体となる前日の29日、3月の襲撃事件があった現場近くでショッピングをしており、この際に3月の事件の時に、容疑者が捨てるなどした残留物に触れた可能性がある。 

 2人の友人のサム・ホブソンさん(29)は2人が搬送される現場に居合わせた。ホブソンさんによると「最初にスタージェスさんが呼吸困難な状態で担架で運ばれた。ロウリーさんは目に涙を浮かべていた」が、後にロウリーさんも気分が悪くなった。 

 ホブソンさんはロウリーさんの症状について「汗をかき始め、Tシャツがびっしょりになった。壁に向かって体を揺り動かし始め、目は広く見開かれ充血していて瞳孔は針先のようになった。意味不明なことを言い出し、私は彼が幻覚を見ているのかと思った。奇妙な声を出して、まるでゾンビのようだった。すぐに救急車を呼んだ」と話した。 

 3月の事件について、英捜査当局はロシア政府の支援を受けた容疑者らが、元情報機関員スクリパリ氏の自宅玄関の取っ手に神経剤ノビチョクを塗って殺害を図ったとみて調べを進めている。 (共同通信=太田清)