ベルギーとの熱戦の末、日本代表のロシアワールドカップにおける夢物語が遂に終焉を迎えた。
そこで、今回は日本代表の全4試合で行った採点を元に、今大会における日本代表のベスト5を選出してみたいと思う。
第5位 長友佑都(6.1)
コロンビア戦での対フアン・クアドラード、セネガル戦での対イスマイラ・サールと、ライバル国の「危険人物」を“ほぼ”完封した彼の存在は非常に印象的であった。
SNSで炎上を起こすツイートを行い、さらに髪を金髪に染めて驚かせるなど、大会前から様々な話題を提供してくれたが、ピッチ上でもサッカー耳目を集める働きを見せた。
相手選手に一瞬手を焼くシーンや失点に繋がる小さなミスはあったものの、持ち前の運動量と冷静な1対1の対応など、「悪さ」よりも「良さ」のほうが目立ったことは間違いない。
「4年後も目指します」と既に彼の眼差しやカタール大会に向けられているようだが、それと同時に語ったのが「自分を押しのける選手が出てくること。自分は待っている」という日本代表に対する期待。
偉大なる左サイドバックを超える存在が日本代表には求められるだろう。
第4位 乾貴士(6.1)
採点上では長友佑都と同点であったが、セネガル、ベルギー戦での値千金のゴールを評価して第4位とした。
紛れもなく今大会の日本代表において「最も可能性を感じさせてくれた」選手であり、個々で勝負ができる唯一無二のタレントであった。
上述のゴールはもちろんのこと、守備面でもクレバーさを感じさせるプレーを随所に披露し、ベルギー戦では相手のシステム変更に合わせて対応方法を変えて周囲にコーチングするなど、リーダー的な一面ものぞかせた。
大会前にエイバルからレアル・べティスへの移籍が発表されたが、決断の時期をもう少し待てば、さらなるビッグクラブからも声が掛かっていた可能性は大いにあっただろう。
第3位 昌子源(6.2)
大会を通じて、守備の要である吉田麻也を凌駕するパフォーマンスを見せたくれたのが昌子源であった。
大会前は槙野智章がレギュラーCBと目されていたが、強化試合のパラグアイ戦で出色の働きを見せると、そのまま一躍レギュラーへ。第二戦目でエンバイ・ニアング相手に互角以上に渡り歩いたディフェンスはまさに鮮烈なものであった。
そして、特に印象に残るのが、やはり、ベルギー戦の後半アディショナルタイム。
全速力で戻りながらも後一歩のところでナセル・シャドリのシュートに間に合わず、まさかの逆転負け。日本全土が落胆に包まれた失点シーンの直後、彼は精魂尽き果ててうずくまっていた。
だがそれは、ベルギーの鋭いカウンターアタックの前に半ば諦めかけていた選手も見られた中、誰よりも力を振り絞り、最後の最後まで「失点阻止」のために疾走したからだ。
29歳と円熟の年齢で迎える2022年大会では、必ずやDFリーダーとして日本代表を支えるべき存在である。芝生に何度も拳を打ちつけたその悔しさを胸に、海外移籍、そして更なる成長に成功した姿を見せてくれるはずだ。
第2位 酒井宏樹(6.3)
今回の日本代表23人の中で「最も頼もしく思えた存在」は右サイドバックにあった。今大会に参加した他国の同ポジションの選手と比較してもトップクラスのパフォーマンスを見せた酒井宏樹である。
近年、サイドにはチームの武器となるアタッカーを据えるチームが多く、実際、日本代表が戦った相手も例に漏れることはなかった。しかし、にもかかわらず失点を必要最小限度に抑えられたのは、酒井が圧倒的な存在感で右サイドを封鎖したからだ。
特にセネガル戦ではキーマンと目されていたサディオ・マネに全く良い所を出させないディフェンスを見せ、日本のドローに大きく貢献。
日本の攻撃が左サイドにやや偏っていたため得意のオーバーラップからの攻撃参加はあまりなかったが、課せられた仕事以上の活躍を見せたことは疑いようのない事実だろう。
ドイツのハノーファーからマルセイユに渡り、既に不動の地位を築いているが、大会終了後にはビッグクラブの食指が動くか。
第1位 柴崎岳(6.4)
「一人だけ異世界に到達した」
彼がピッチ上で解き放った輝きは、そのように形容したくなるほど眩いものであった。
日本代表における攻撃のスイッチを司る「コントロールタワー」として君臨し、効果的なパスワーク、機を見たサイドチェンジ、DFラインを切り裂くスルーパスで与えられたその役目を完遂させた。
また、触れなくてはいけないのは攻撃面だけではない。
元々は攻撃色の強い選手であり、フィジカルコンタクトやプレーの連続性の面には脆さを感じられることもあった。だが、スペインでの研鑽がプレースタイルを変えたのか、セカンドボールの回収、ボールホルダーへの厳しいチェックなど守備面でもチームに多大な貢献ができる選手であることも証明した。
まだまだボール奪取のタイミングや対ドリブルの応対には改善ポイントがあり、今後はさらにスケールの大きな選手へ成長する伸びしろも大いにある。
これまで日本代表を支えてきたベテラン陣が引退を発表(もしくはほのめかす発言を)し、チームが変革の時を迎えるであろう今後の4年間で、果たして柴崎岳がどこまでの領域に達するのだろう。
日本のサッカーファンにとっては彼の行く末は大きな見物である。