金属行人(7月6日付)

 6月18日の大阪北部地震。高槻市の小学校でブロック塀が倒壊し、4年生の児童が亡くなった。高さ1・9メートルの基礎塀の上に継ぎ足された高さ1・6メートルのブロック塀には、基礎塀と連結させた13ミリ径の鉄筋が、基礎塀埋め込み分と合わせ33センチしか入っていなかった。しかも間隔80センチと飛ばし状態で、地震の揺れにブロック塀の重さが耐えられず幅40メートルにわたって倒壊した▼学校防災委から危険性を指摘されていたが、市教育委の担当者が診断して「問題なし」として対応してこなかった。「市民の安心・安全」を言いながら、手抜き工事を見抜けない監理の甘さ・無知が出た。市職員の怠慢である。NHKテレビ番組のチコちゃんではないが「ボーっと生きてんじゃねーよ」と言いたくもなる▼今回の事故後の調査で、建築基準法に適合しないブロック塀が全国で依然多いことが分かった。「ブロック塀工事は短工期。監理者不在の間に手抜きするケースもある」という話も耳にした▼そこで提案だが、鉄筋メーカーが「正しいブロック塀工事」について啓蒙PRを展開したらどうか。元来、鉄筋メーカーの仕事ではないが、基準法通り鉄筋を使うことを施主や工事業者に啓蒙することで、鉄筋への信頼・安心が広がる。

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