台風7号が長崎県内を通過したのに伴い、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の一つ、「端島炭坑」(軍艦島)で安全確保用の手すりが壊れるなどの被害が出ていたことが5日、長崎市の調査で分かった。長崎市は観光客の軍艦島上陸を禁止した。
世界文化遺産に登録されたばかりの「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」も、構成資産の「久賀島の集落」(五島市)と「黒島の集落」(佐世保市)の教会で窓が破損するなどした。
長崎市観光政策課によると、軍艦島では強風のため、船が接岸する「ドルフィン桟橋」と島をつなぐ連絡橋の手すりが海側に大きく傾いた。見学広場でも、広場と立ち入り禁止区域を仕切る柵の支柱とガードパイプが多数倒壊した。国内最古の鉄筋コンクリート造りの高層アパート「30号棟」など建造物に目立った被害はなかった。
長崎市は6日以降、復旧工事に着手。工事完了には2、3日かかるとみており、上陸禁止の解除は来週以降になる見込み。
五島市によると、「久賀島の集落」にある旧五輪教会堂は、飾り窓のガラスの一部が外れて落下。屋根の瓦5枚がずれて建物が雨漏りした。佐世保市によると、「黒島の集落」の黒島天主堂は正面のステンドグラスが一部破損したが、アクリル板を使って応急修理した。