【JFE条鋼の第6次中期経営計画・豊平製造所の取り組み】〈小山内寿所長に聞く〉出荷、2割増の20万トン規模へ 需要増に対応、3年で14億円投資

――第6次中期経営計画における豊平製造所の取り組みは。

 「全国的に鉄筋需要は減少しているが、北海道地区では新幹線札幌延伸関連や高規格道路整備、ニセコ地区のリゾート開発やTPP関連の農業案件も全道で予定され、需要量は今後も増加を期待している。その中で、3カ年で14億円の投資を計画している。そのうち半分は老朽更新で、残りは製造能力アップや安全、品質に関する投資となる」

――具体的には。

JFE条鋼豊平製造所・小山内所長

 「需要増に対応した能力アップを図り、出荷量を20万トン規模へ上げたい。当所の出荷量は、昨年度は約17万トンだったが、今年度は約18万トンを見込んでいる。全道の案件を細かなものまで足で稼いで確保したい。同時に下期からビレットの輸出対応にも取り組む。それに合わせて製鋼部門では現在のビレットサイズを110角から120角をメーンにサイズを拡大する。これに伴い圧延部門ではローラーガイドの改造や払い出し装置の設置を行う」

 「品質面ではさらに高品質の製品開発を追求したい。一例として、当社の製品は従来から柔らかいと好評を得ている。これをさらに加工性を高め、いわば〝寒冷地仕様〟の製品開発に取り組みたい」

 「エネルギー消費の原単位削減にも取り組む。電炉の高性能化を図るため、AIなどの駆使による炉内の制御も検討しており、今までは把握できなかった電炉内の反応まで見えるような形にしたい」

――新市場への取り組みは。

 「先に挙げたビレット輸出のほか、構内の空きスペースの有効活用を積極的に進めたい。一例として、かつて橋梁部門で使用していた第2倉庫(4680平方メートル、クレーン3基設置)はスクラップディーラーや需要家にまで声をかけ、好感触を得ている。その過程で単なる賃貸だけでなく、お客様に当所の設備や人材を利用していただくことも考えている。ニーズによっては、需要家とタイアップして当社が加工した製品を納入することも考慮している」

――安全面での取り組みは。

 「発生率が100万分の1のリスクでも見逃すことがないよう、現場を隅々まで見て回りたい。特に危険な箇所ほど重点的に回り、すでに原点に帰った安全活動を展開している」

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