ホークス先発陣の苦しすぎる現状 新助っ人ミランダは救世主になれるか?

アリエル・ミランダ(左)はホークスの救世主となれるか…【写真:Getty Images、藤浦一都】

昨季メジャーで160回を投げて8勝挙げたキューバ人左腕

 ソフトバンクは6日、新助っ人として前マリナーズのアリエル・ミランダ投手との選手契約が基本合意に達したと発表した。今後、メディカルチェックなどを経て正式契約を結ぶ予定。29歳のキューバ人左腕は昨季マリナーズで先発ローテの一角を担い、31試合に登板して8勝7敗、防御率5.12をマークしていた。

 今季のメジャー登板は1試合のみだが、5回を投げて6安打1失点と好投している。傘下3Aでは10試合に登板して5勝負けなし、防御率3.97。最速152キロのフォーシームを軸に、スプリット、スライダー、カーブが持ち球となっている。昨季はメジャーで160イニングを投げた実績を持ち、ソフトバンクとしては手薄になりつつある先発陣の一角として起用することになるだろう。

 オールスターブレイクを目前に、緊急補強に動いたソフトバンク。7月5日現在、ロッテ、オリックスと並んぶ3位タイで、昨季まで感じさせた強烈な強さはない。その要因の1つは、先発陣の苦しい状況にある。今季の先発ローテ投手たちの成績を以下に挙げてみる。※QS(クオリティースタート:6回以上自責点3以下)

・千賀滉大
10試合6勝3敗0セーブ(5QS)防御率3.20 
59回46安打6本塁打74三振23四球

・バンデンハーク
13試合5勝6敗0セーブ(8QS)防御率4.63 
79.2回64安打13本塁打73三振35四球

・石川柊太
16試合7勝4敗0セーブ(8QS)防御率3.25 
83回71安打13本塁打54三振26四球

・摂津正
5試合2勝2敗0セーブ(1QS)防御率4.57
21.2回17安打5本塁打19三振15四球

・中田賢一
13試合4勝3敗0セーブ(3QS)防御率4.35 
72.1回62安打10本塁打63三振42四球

・武田翔太
12試合2勝5敗0セーブ(4QS)防御率4.31
71回65安打9本塁打52三振20四球

・東浜巨
8試合1勝5敗0セーブ(4QS)防御率4.88
51.2回49安打11本塁打46三振18四球

・和田毅
1軍登板なし

先発陣は軒並み防御率4点台、千賀は故障離脱続き

 勝ち頭は7勝の石川。今季は中継ぎとしてシーズンをスタートさせ、その後先発に。ハイペースに白星を重ねていたが、4試合連続で勝利を逃しており、状態が下降気味。ローテの柱となるべきバンデンハーク、武田の2人、さらに中田と摂津がいずれも防御率4点台と安定感を欠いている。

 球界を代表する投手となった千賀は今季、故障に泣かされている。右前腕部の張りなどで2度チーム離脱し、5日には今季4度目(1度はローテ再編のため)の出場選手登録抹消となった。これだけ故障が相次ぐと、起用にも慎重にならざるを得ない。昨季最多勝の東浜は右肩の機能不全のためファームで調整中。左肩違和感の和田はまだ復帰の目処が立っていない。

 大混戦となっている今季のパ・リーグ。他球団を見れば、西武は菊池雄星、日本ハムは上沢直之とマルティネス、ロッテは石川歩とボルシンガー、オリックスはアルバースと、先発ローテの柱がしっかりと機能している。ホークスが抱える先発陣の不調は、リリーフ陣への負担増に繋がっている。

 ファームから若手の昇格を期待したいところだが、残念ながら、現在の2軍から、その候補となりそうな投手の名前がなかなか挙げられないのが現状だ。最も2軍の先発で勝利を挙げているのは、育成ルーキー左腕の大竹耕太郎。大竹に続くのが笠谷俊介で、期待度の高かった古谷優人や長谷川宙輝、高橋純平といった面々は、満足のいく成績を残せていない。

 昨季はサファテが先発陣に“喝”を入れたソフトバンクだが、今季はそのサファテも股関節の手術のためにいない。デスパイネ、バンデンハーク、モイネロと3人の外国人が1軍におり、2軍にはトミー・ジョン手術から復帰を目指しているロベルト・スアレス投手がいる。残り1つの外国人枠をどう扱うのか。そしてミランダは、ホークスを2年連続日本一に導く救世主となれるだろうか。

(Full-Count編集部)

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