【熊本城のいま】天守守る制震・耐震の新装置

©株式会社熊本日日新聞社

広告を表示できません。

 熊本城の天守閣は、かねて耐震性能が不足しており、補強や建て替え、木造での本格復元など何らかの手だてが必要とされていた。学識者らでつくる特別史跡熊本城跡保存活用委員会は2016年3月24日の会合で、天守閣の耐震補強工事について検討。それからわずか20日ほどで、熊本地震に見舞われた。

 熊本市は地震後、一般財団法人・熊本建築構造評価センターに天守閣の耐震診断を依頼。これにより耐震診断基準を満たす計画を立て、新たな天守閣の補強方法を決めた。

 天守閣が地震で倒壊を免れたのは、地下約47メートルまで差し込まれた12本の「くい」が支えたからだ。この“命綱”への揺れをできる限り抑えるため、耐震だけでなく、揺れのエネルギーを吸収する制震設備も必要になった。

 大天守と小天守には合わせて7種類の制震・耐震設備が導入される。例えば大天守6階と小天守4階には、特殊なゴムを用いた制震設備を採用。柱の上部とはりを斜めに連結し、揺れを吸収する。熊本城総合事務所は「各階で取り付け場所の制約がある上、なるべく軽くする必要もある。全体の揺れのバランスなど緻密に計算されている」と説明する。

 これらの設備のうち、施工を請け負う大林組が熊本城天守閣のために生み出した新たな装置が「クロスダンパー」だ。伸縮性のある2種類の“筋交い”をX形にクロスさせ、一体化させている。通常は一つの壁面に一つずつ設置するが、天守閣の内部は狭く壁面も少ない。そこで2種類を一つの壁に収める方法を考案したという。

 大林組広報部によると、この2種類のダンパーを組み合わせることで地震の大小を問わず、耐震と制震の効果を発揮するという。設置場所は大天守の1~3階のほか、小天守の地下1階と1階。多くの耐震設備は内装や展示で見えなくなるが、小天守の地下1階のクロスダンパーは復旧後にも見られるという。

 総合事務所では地震後、資料などに記す際は「制震」ではなく「制振」と表記している。復旧方法を検討する委員から「地『震』を『制』するなんておこがましい」と指摘があったからだ。総合事務所の担当者は「言葉づかいの小さな違いかもしれないが、そうだと思う。私たちにできることは、いつ起こるか分からない地震に備えることだ」と襟を正す。(飛松佐和子)

(2018年7月6日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

連載熊本城のいま

Follow us!

熊本日日新聞

こんなニュースも

紙面を彩った火の国球児たち

「夏の甲子園100回」を記念し、熊本出身のスターたちの〝球児〟時代を取り上げます。 第3弾は「打撃の神様」と呼ばれた川上哲治(熊本工出、人吉市出身)です。

ご購入はこちらから

Curated by

Curated by