全国高校野球長崎大会 選手宣誓 谷脇遼馬主将(佐世保工) 感謝の心を忘れず 正々堂々と

 「私たちは今、野球ができることに感謝しています」。雨の降りしきる球場で、しっかりと前を見据えた。参加57校を代表して、選手宣誓に立った佐世保工の谷脇遼馬主将。100回目の夏の始まりに、はつらつとした声を響かせた。
 6月の抽選会で宣誓者に決まった直後「今は頭が真っ白」と感想を話した。東監督がそんな教え子に「名誉なことだぞ、胸を張れ」と言葉をかけると、さっと背筋を伸ばした。「まじめで頼もしいけれど、少しシャイなんです」(東監督)
 宣誓文を考え始めた時、まず浮かんだのは家族の顔。母は高台にある野球部のグラウンドまで毎日のように送り迎えをしてくれた。そして「人前に立つのは苦手」な自分がチームを引っ張ってこられたのは、仲間や指導者のおかげ。2年前の熊本地震をきっかけに、大好きな野球ができるのは当たり前でないことも知った。だから「ベタだけど、精いっぱいの『ありがとう』を伝える」
 迎えたこの日の本番。真っすぐに伸びた背筋は、節目の大会に挑む18歳の背中をより大きく見せた。言葉に力を込め、こう締めくくった。「感謝の心を忘れず、正々堂々とプレーすることを誓います」。
 大役を終え、ほっとした表情を浮かべた。「自分にしては堂々とやれた。やっと野球に集中できる」。雨はやまなかったが、スタンドには頼れる主将の晴れ晴れとした笑顔があった。

力強く選手宣誓する佐世保工の谷脇主将=県営ビッグNスタジアム

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