実は産地 今が旬! 長崎のハモ 味わい方いろいろ 知名度アップへ取り組み

 アジ、サバ、ブリ…。水揚げされる魚は300種を超え、日本一ともされる水産県長崎。実は京料理に使う高級食材、ハモの産地でもある。梅雨から夏にかけて旬となるハモのPRには漁業者や料理店が取り組んでいるが、市民のなじみはいまひとつ。ただ、取材してみるとこの時期の長崎にぴったりの縁起物ということも見えてきた。
 ギョロリとした目と鋭い歯。ウナギのように細長く、体長2メートルを超すものも。長崎近海では底引き網漁やはえ縄漁で年間を通じて取れるが、旬は産卵期で脂が乗る6~8月だ。
 県内の主な産地である長崎市のたちばな漁協の年間水揚げ量は約10トンで、茂木漁協では約3トン。現在、ハモに特化した水揚げ量のデータはないが、本県の水産関係者は「全国でも上位のはず」と口をそろえる。昔から仲買人を通じて京都や大阪に出荷されていたようだ。
 京都では、ハモは7月の祇園祭の頃に盛んに食卓に上る夏の風物詩の代表格。その上品なイメージを産地である長崎でも取り込み、地元消費に活用しない手はない。そう考え、約20年前からハモを夏のメニューに取り入れているのが長崎市金屋町の老舗料亭、坂本屋だ。
 「ジャッ、ジャッ」。板場に小気味よい音が響く。薄い皮を残して小骨に刃を入れる「骨切り」。この道34年の小淵稔料理長(52)が、細やかな包丁さばきで独特の食感を生み出していく。
 坂本悦子女将(おかみ)のお薦め料理は「ハモしゃぶ」。焼いた頭と骨から取っただしにさっと身をくぐらせる。口いっぱいに広がるぷりっとした歯応えと脂が乗った白身のうま味。湯引きも梅肉ソースでさっぱりといただく。ジメジメとした梅雨を吹き飛ばしてくれる爽やかさだ。
 同店のハモ料理の提供は6月から8月10日まで。最も安いコースで全9品の「ハモしゃぶ鍋」が7千円(税抜き)。「ハモは梅雨の水を飲んでからがおいしい。新鮮な長崎のハモだからこそ、いろいろな食べ方が楽しめる」という女将の言葉もうなずける。
 もっとお手軽に味わうには、産地に行こう。今月22日、長崎市戸石町の戸石フレッシュ朝市で18回目となる「戸石はも・かに祭り」が始まる。8月5日までの期間中、周辺7店舗がそれぞれ工夫した「戸石はも・かに御膳」を展開する。「地元のみなさんに新鮮でおいしいハモを気軽に食べてほしい」。漁業者たちも来場を呼び掛ける。
 「体が長く、生命力もあるハモは、長寿などのお祝いにもぴったり」。坂本女将はハモのもう一つの横顔を教えてくれた。長崎市内では、6月の長崎くんちの小屋入りに合わせて厄入りをする風習に着目した「長崎厄入り祭り」が今年、始まった。長崎商工会議所青年部のメンバーは、企画を市長に提言する際、厄払いにかけた料理を展開する考えも示しており、これにハモはうってつけ。坂本女将は「長崎のハモをもっと知ってもらい、梅雨や夏場の祝いの席にはハモという機運を高めていきたい」と話している。

ハモの身を骨切りする小淵料理長=長崎市、坂本屋
坂本屋のハモ料理。ハモしゃぶ用の身(左下)や湯引き(右下)など多彩な味を楽しめる

©株式会社長崎新聞社

平成の長崎

「平成」ってどんな時代だった? 長崎の平成30年間を写真で振り返る長崎新聞特別企画サイトです

『平成の長崎』ページへ

Curated by

長崎新聞

長崎新聞