活躍は至難の業? 過去3年の助っ人成績に見るシーズン途中加入の難しさ

オリックスのクリス・マレーロ【写真:荒川祐史】

後半戦に備え、各球団が続々と新助っ人を獲得しているが…

 プロ野球界は143試合の折り返し地点が過ぎ、オールスターブレイクが目前と迫ってきた。セ・パ両リーグともに混戦の様相を呈しており、連日順位が目まぐるしく入れ替わる、ファンにとってもドキドキの日々となっている。

 優勝争い、そして3位以上のクライマックスシリーズ進出のためには、オールスター明けからの後半戦が重要となる。その後半戦に向けて、各球団が補強の動きを見せている。今季シーズンが開幕して以降、西武がデュアンテ・ヒース投手を、阪神がエフレン・ナバーロ内野手を獲得した。

 広島もジョニー・ヘルウェグ投手を加え、ヤクルトはジェイソン・ウルキデス投手の獲得を発表。6日にはソフトバンクがアリエル・ミランダ投手の契約合意を発表すると、翌7日にはオリックスがドン・ローチ投手の加入を発表した。この新加入の助っ人たちがいかなる働きをするかは、今後のペナントの行方を左右することになりそうだ。

 だが、シーズン中に加入した助っ人が、いきなりNPBで活躍することは決して簡単なことではない。慣れない環境に身を置き、準備期間のないままに結果を残すことは至難の技となる。これまでにシーズン途中に加入した助っ人たちの成績を見てみると、難しさがよく分かる。

 過去3年間でシーズン中に加入し、支配下契約を結んだ外国人選手たちを、支配下契約された順に見てみよう。育成から昇格した選手は除いたが、モイネロはシーズン途中に育成で加入し、すぐに支配下に昇格したためリストに加えた。(※は翌シーズンの残留を掴んだ選手)。

【2017】
ロッテ:ロエル・サントス(外野手、キューバ・グランマ)
66試合180打数45安打3本塁打8打点 打率.250 出塁率.282

オリックス:クリス・マレーロ(内野手、ジャイアンツ)※
82試合283打数82安打20本塁打50打点 打率.290 出塁率.364

楽天:ジョシュ・コラレス(投手、BCリーグ富山)※
1試合0勝0敗0H0S 3回5安打6四球5失点 防御率15.00

ロッテ:ウィリー・モー・ペーニャ(外野手、インディアンス傘下)
70試合219打数53安打15本塁打38打点 打率.242 出塁率.333

ソフトバンク:リバン・モイネロ(投手、キューバ・ミナールデルリオ)※
34試合4勝3敗15H1S 35.2回21安打14四球36三振 防御率2.52

西武:スティーブン・ファイフ(投手、マーリンズ傘下)
5試合1勝1敗0H0S 21回32安打13四球11三振 防御率6.85

日本ハム:ヤディル・ドレイク(外野手、メキシコ・ドゥランゴ)
35試合82打数19安打1本塁打3打点 打率.232 出塁率.267

ヤクルト:カルロス・リベロ(内野手、ダイヤモンドバックス傘下)
54試合200打数43安打6本塁打21打点 打率.215 出塁率.240

阪神:ジェイソン・ロジャース(内野手、パイレーツ傘下)
40試合123打数31安打5本塁打23打点 打率.252 出塁率.329

 昨季はソフトバンクのモイネロ、オリックスのマレーロが上々の結果を残したが、西武のファイフや阪神のロジャースなどは厳しい数字となった。

ソフトバンクのリバン・モイネロ【写真:藤浦一都】

巨人のフランシスコのような期待ハズレに終わった選手も…

【2016】
DeNA:マイク・ザガースキー(投手、前広島)
32試合3勝1敗3H0S 32.2回37安打19四球34三振 防御率4.96

オリックス:マット・クラーク(内野手、メキシコ・ラグナ)
11試合29打数5安打2本塁打4打点 打率.172 出塁率.294

DeNA:エリアン・エレラ(内野手、ドジャース傘下)※
25試合56打数14安打1本塁打1打点 打率.250 出塁率.323

巨人:ホセ・アドリス・ガルシア(外野手、キューバ・ティグレス)
4試合7打数0安打0本塁打0打点 打率.000 出塁率.000

ヤクルト:ジェフン(ハ・ジェフン、外野手、四国IL徳島)
17試合40打数9安打0本塁打2打点 打率.225 出塁率.262

西武:フェリペ・ポーリーノ(投手、インディアンス傘下)
9試合0勝6敗0H0S 44回44安打25四球32三振 防御率4.70

中日:レイソン・セプティモ(投手、ドミニカ・ティグレス)
3試合0勝1敗0H0S 6.1回8安打3四球1三振 防御率4.26

巨人:ガブリエル・ガルシア(投手、四国IL徳島)
1軍登板なし

阪神:コーディ・サターホワイト(投手、エンゼルス傘下)
20試合1勝1敗6H0S 21回19安打8四球18三振 防御率2.57

広島:スティーブ・デラバー(投手、レッズ傘下)
2試合0勝0敗0H0S 2回0安打0四球4三振 防御率0.00

楽天:フェリックス・ペレス(外野手、メキシコ・モンテレイ)
24試合88打数21安打5本塁打15打点 打率.239 出塁率.280

西武:ブライアン・ウルフ(投手、前ソフトバンク)※
4試合4勝0敗0H0S 23.2回26安打4四球8三振 防御率3.04

楽天:カルロス・ペゲーロ(外野手、カージナルス傘下)※
51試合183打数51安打10本塁打26打点 打率.279 出塁率.492

DeNA:マイク・ブロードウェイ(投手、ジャイアンツ傘下)
5試合0勝0敗0H0S 6回7安打2四球3三振 防御率4.50

 2016年は実に14選手がシーズン中に各球団に加入したが、救世主となるほどの活躍を見せた選手はほとんどいなかった。西武のウルフは元々ソフトバンクに在籍しており日本球界経験者だったことを考えると、補強が成功だったのは、51試合で10本塁打を放ち現在も楽天の主力となっているペゲーロくらいだろう。

【2015】
広島:ネイト・シアーホルツ(外野手、レンジャーズ傘下)
65試合232打数58安打10本塁打30打点 打率.250 出塁率.298

巨人:ホアン・フランシスコ(内野手、レイズ傘下)
5試合18打数3安打0本塁打1打点 打率.167 出塁率.167

ヤクルト:ミッチ・デニング(外野手、BCリーグ新潟)
64試合194打数43安打4本塁打22打点 打率.222 出塁率.326

阪神:ネルソン・ペレス(外野手、BCリーグ石川)
3試合9打数0安打0本塁打0打点 打率.000 出塁率.000

日本ハム:ミッチ・ライブリー(投手、ナショナルズ傘下)
16試合0勝0敗0H0S 18.2回19安打15四球22三振 防御率5.30

オリックス:ヨヘルミン・チャベス(外野手、BCリーグ群馬)
1軍出場なし

DeNA:デュアン・ビロウ(投手、韓国・起亜)
1試合0勝1敗0H0S 1.1回2安打5四球0三振 防御率33.75

中日:ドリュー・ネイラー(投手、四国IL香川)※
10試合4勝3敗0H0S 52回48安打19四球41三振 防御率3.81

中日:ラファエル・ペレス(投手、メキシコ・キンタナロー)
1軍登板なし

巨人:アレックス・カステヤーノス(外野手、メッツ傘下)
6試合20打数2安打0本塁打1打点 打率.100 出塁率.182

ロッテ:ベク・チャスン(投手、BCリーグ武蔵)
1軍登板なし

楽天:アガスティン・ムリーロ(内野手、メキシコ・モンテレイ)
9試合32打数10安打0本塁打1打点 打率.313 出塁.405

 2015年はシーズン中に12人の助っ人たちがNPBにやってきた。だが、目立った成績を残した選手は皆無。巨人のフランシスコは大砲として期待されながら、拙守などで使い物にならず。中日のネイラーは2016年シーズンも残留したが、結局、目立った成績を残せなかった。

 過去3年を見ただけだが、やはりシーズン途中で加入し、活躍することは容易ではなさそう。決して甘くないNPBの世界。大混戦の今季、チームの救世主となる新助っ人は出てくるだろうか。

(Full-Count編集部)

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