城島、里崎…“強打の捕手”は現れるか? 混戦パ・リーグの捕手事情

西武・森友哉【写真:荒川祐史】

西武・森友哉が8本塁打でトップ

 7月7日のロッテ-日本ハム戦では、ロッテの8番・田村龍弘捕手が中前打、左二塁打と2安打を放った。捕手が打撃で貢献すると、チームの士気は上がる。しかし、今のNPBでは打てる捕手が現れていないのが現実だ。

 7月7日時点で20試合以上マスクをかぶっている捕手の打撃成績を見ていこう。試は通算出場試合数。捕は、捕手としての出場試合数。

○ソフトバンク
甲斐拓也 63試63捕152打35安4本17点 率.230
高谷裕亮 30試30捕30打4安1本2点 率.133

○西武
森友哉 69試39捕243打70安8本43点 率.288
岡田雅利 28試27捕52打17安2本5点 率.327
炭谷銀仁朗 25試25捕76打21安0本7点 率.276

○楽天
嶋基宏 69試69捕186打36安0本15点 率.194

○オリックス
若月健矢 56試56捕121打22安0本13点 率.182
山崎勝己 48試46捕57打13安0本4点 率.228
伏見寅威 33試20捕50打13安0本5点 率.260

○日本ハム
清水優心 49試47捕120打21安5本13点 率.175
鶴岡慎也 52試45捕123打35安2本12点 率.285

○ロッテ
田村龍弘 76試76捕229打56安1本15点 率.245

 ソフトバンクは開幕前には、捕手の故障者が相次ぎ、育成の堀内汰門を支配下登録し、日本ハムから市川友也を獲得するなど慌ただしい補強を行ったが、開幕してからは甲斐拓也が昨年に続いて正捕手。打撃も捕手としてはまずまずの成績だ。

 西武は昨年、12試合しかマスクを被らずDHや外野への転向も検討された森友哉を、オープン戦から捕手として起用。開幕後も捕手として39試合に出場している。打者としては主に5番に座っている。昨年の正捕手炭谷、2番手だった岡田は出場機会が減っているが、3人ともに打撃好調。現時点の西武には「捕手の貧打」の問題はない。

 楽天は近年出場機会が減っていたチームリーダーの嶋が、今季はほとんどの試合で先発マスクをかぶっている。しかし打率は2割を切っている。

 オリックスは若月健矢、山崎勝己、伏見寅威を併用しているが、打撃や守備で一長一短があり、正捕手を決めるには至っていない。

 日本ハムは、正捕手の大野奨太が中日にFA移籍、市川友也もソフトバンクに移籍。若い清水を正捕手に育てようとしている。清水の補佐としてベテランの鶴岡をソフトバンクから復帰させた。打撃では、鶴岡に一日の長があるようだ。近藤健介は今も捕手登録だが、今季は外野、DHで起用され、一度もマスクをかぶっていない。

 ロッテは江村直也、吉田裕太、田村龍弘らが”ポスト里崎智也”の座を争っていたが、3年ほど前から田村が正捕手に定着。打率も.250前後とまずまずの成績を上げている。

 こうしてみると、打てる捕手の存在がチームの浮沈に大きくかかわっていることがわかる。捕手に注目するとチーム状態が分かるともいえるだろう。

(Full-Count編集部)

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