阿部、古田に次ぐ新世代の“強打の捕手”は誰? セ・リーグ捕手事情

広島・會澤翼【写真:荒川祐史】

広島・會澤は打率3割、9本塁打と攻守で活躍

 7月7日の巨人-広島戦では広島の8番・會澤翼捕手が9回にダメ押しの本塁打を打ち、追いすがる巨人の息の根を止めた。捕手がこういう打撃をすれば、打線は一気に盛り上がるが、セ・リーグも打てる捕手がなかなかいないのが現状だ。

 7月7日時点で20試合以上マスクをかぶっている捕手の打撃成績を見ていこう。試は通算出場試合数。捕は、捕手としての出場試合数。

○広島
會澤翼 55試53捕165打56安9本27点 率.339
石原慶幸 33試33捕46打8安1本4点 率.174

○阪神
梅野隆太郎 65試65捕159打36安4本19点 率.226
原口文仁 39試26捕69打22安1本8点 率.319

○DeNA
嶺井博希 49試49捕124打23安2本12点 率.185
高城俊人 28試28捕66打9安0本3点 率.136
戸柱恭孝 21試20捕48打7安1本6点 率.146

○巨人
小林誠司 66試66捕165打38安1本22点 率.230
大城卓三 44試33捕92打22安2本10点 率.239

○中日
大野奨太 49試49捕102打21安2本8点 率.206
松井雅人 44試43捕86打16安2本9点 率.186

○ヤクルト
中村悠平 67試67捕199打39安2本15点 率.196

 広島は伝統的に2人の捕手を併用してきたが、今季は會澤が打撃も絶好調。38歳の石原は今季、チームの捕手として初めて1000本安打を記録している。

 阪神は、守備、リード面で安定感のある梅野が正捕手。打撃に定評がある原口が2番手という位置づけ。梅野は4本塁打と打撃面でも健闘している。

 DeNAは、昨年は左打者で勝負強い打撃の戸柱を正捕手とし、嶺井、高城を控えにしていたが、今季は戸柱が6月に2軍降格するなど打撃不振のため正捕手を決定できていない。しかし7月に入って戸柱は好打を連発してラミレス監督にアピールしている。

 巨人は、過去2年、小林誠司を正捕手に固定。規定打席に達したものの2年連続最下位だった。今季はドラフト3位の大城卓三が打撃センスの良さで高橋監督の目に留まり、併用されている。これに刺激された小林は一時首位打者争いに加わったが、このところ打撃成績は急降下。7月に入ってからは大城が先発マスクをかぶっている。

 中日は”ポスト谷繁元信”に悩んできた。今季は日本ハムからFA移籍した大野が正捕手となったが、盗塁阻止率は.178の低率。松井雅人との併用が続いている。

 ヤクルトは中村悠平が正捕手に固定されている。勝負強い打撃を見せることもあるが、打率は1割台と、物足りない成績だ。

 野村克也、古田敦也、城島健司、矢野燿大などのような、「打てる捕手」がいれば、チームは守備、攻撃両面で大幅に戦力アップとなる。現役捕手陣は、今後、どんな打棒を見せてくれるだろうか?

(Full-Count編集部)

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