「人手不足」関連倒産(2018年上半期)

 企業倒産が低水準な推移の一方で、中小企業を中心に人手不足が深刻度を増している。「人手不足」関連倒産は、「後継者難」型が中心で現状は推移しているが人手不足感が解消されない中で、「求人難」型の今後の動向が注目される。

6月は今年2番目に多い36件

 2018年6月の「人手不足」関連倒産は、36件(前年同月比28.5%増、前年同月28件)で、5月(38件)に次いで、今年2番目に多かった。内訳は、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が29件(前年同月25件)、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が3件(同1件)、中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が1件(同ゼロ)、賃金等の人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が3件(同2件)。

人手不足関連倒産月次推移

6月の産業別、サービス業他が最多

 6月の産業別では、サービス業他14件(前年同月8件)が最多だった。次いで、建設業6件(同3件)、製造業6件(同3件)、卸売業5件(同5件)、運輸業2件(同2件)、小売業・不動産業・情報通信業が各1件と続く。

6月の地区別、9地区のうち8地区で倒産が発生

 6月の地区別では、全国9地区のうち中国を除く8地区で倒産が発生した。内訳は関東18件(前年同月7件)を筆頭にして、中部4件(同5件)、東北3件(同2件)、九州3件(同4件)、近畿3件(同6件)、北海道2件(同2件)、北陸2件(同ゼロ)、四国1件(同2件)の順。

6月の都道府県別、最多は東京9件

 6月の都道府県別では、東京9件(前年同月4件)、埼玉3件(同1件)の順だった。

2018年上半期の要因別、「後継者難」型が約8割

 2018年上半期(1-6月)の「人手不足」関連倒産は184件(前年同期比12.1%増、前年同期164件)で、前年同期を上回って推移している。
 内訳をみると、「後継者難」型が145件(前年同期比11.5%増、前年同期130件)、「求人難」型が19件(同18.7%増、同16件)、「従業員退職」型が10件(同25.0%増、同8件)、「人件費高騰」型が前年同期同数の10件になり、「後継者難」型が約8割(構成比78.8%)を占めた。

2018年上半期の産業別、卸売業が75.0%増

 2018年上半期(1-6月)の産業別では、最多がサービス業他の50件(前年同期比25.0%増、前年同期40件)。次に、卸売業35件(同75.0%増、同20件)、建設業32件、製造業31件、小売業14件の順。
 2018年上半期の地区別では、全国9地区のうち関東(71→81件)、中部(17→23件)、東北(8→15件)、四国(4→8件)、北陸(1→2件)の5地区で前年同期を上回った。一方、減少は近畿(23→17件)、中国(10→9件)、北海道(12→11件)の3地区。九州は前年同期同数の18件。

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