「対立乗り越え核廃絶しなければ」 爆撃機に乗った米兵の孫 ビーザーさん 西海で講演

 広島、長崎への原爆投下で両方の爆撃機に搭乗した米軍人の孫で、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)メンバーのアリ・ビーザーさん(29)=米メリーランド州=が8日、長崎県西海市大瀬戸町の音浴博物館で講演し「対立を乗り越え、核兵器は廃絶しなければならない」と訴えた。
 講演によると、ビーザーさんはレーダー士だった祖父を学校ではヒーローと教わり、原爆投下は戦争を早く終わらせるためだったと学んだ。投下後に生存者がいたことも知らなかった。祖父は1992年にがんで亡くなった。実現はしなかったが、死の直前までスピーチ原稿を書き、核兵器が二度と使われないよう願っていたという。核兵器の惨事が忘れられたら、再び核が使われるかもしれないと恐れていた。
 ビーザーさんは2011年以降、被爆者の証言を聞くため長崎、広島を訪問。被爆者たちは、怒鳴ることも、追い返すこともなく当時を語ったという。
 ビーザーさんは講演で「精神的な対立を乗り越え、核兵器は廃絶しなければならない。お互いが人間なのだから」と話した。
 音浴博物館では「良いアイデアを広めよう」をコンセプトに各界の識者が講演する米発祥のイベント「TED」の西海市版「TEDxSaikai(テッド・エックス・サイカイ)2018」(実行委主催)が開かれ、ビーザーさんや県内外の9人が登壇した。
 西海市の離島、人口120人の江島(えのしま)で民泊施設を営む福田智美さん(55)は、江島にUターン移住した両親の死を受け、16年に大阪から移住した。島には都会にはない風景や人のつながりがあるとして「島を守り、島民の役に立ちたい」と話した。

音浴博物館で講演したアリ・ビーザーさん=西海市(TEDxSaikai提供)

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