アメリカ中間選挙に向け共和党は「トランプ党」化が加速

トランプ氏HPより

最近、トランプ政権下で共和党は急激に変容しているのではないか、という議論が起こっています。特に、ベイナー元下院議長が「共和党はもうない。あるのはトランプ党だ。」と発言したことは、多くのアメリカメディアで注目を集めました。そして最近もまた「トランプ党化」をうかがわせる現象が続いています。

トランプ党化現象と予備選での勝利

6月に本格化した共和党予備選挙では、トランプ大統領に批判的な現職が窮地に追い込まれる一方で、トランプ大統領を支持する候補が大きな躍進を遂げています。

トランプ政権批判で名を馳せたフレーク上院議員は予備選で苦戦するという見通しから投票前に引退を迫られました。また、アルミや鉄鋼への関税を「馬鹿げた実験」と批判したサンフォード下院議員が予備選で敗退したほか、トランプ大統領の女性問題を批判したロビー下院議員は決選投票にもつれこむ接戦を迫られています。このように、「トランプ党化」は着々と進んでいると言ってよいでしょう。

こうした中、サウス・カロライナ州知事選予備選でも、トランプ大統領を支持している現職知事のマクマスター氏が勝利を収めました。マクマスター氏は2016年大統領選予備選の時からトランプ大統領を支持していたことで知られています。トランプ大統領やペンス副大統領は繰り返しサウス・カロライナ州入りし応援演説を展開しました。しかし、通常では現職の州知事が再選を目指す場合、党内の予備選ではそもそも候補者が現れないか、現れても圧勝することがほとんどです。今回の予備選では、「トランプよりもトランプ」を自認する候補をはじめ4人が立候補し、接戦に追い込まれるといった波乱も起きています。その意味で、トランプ氏の応援そのものにどれほどの意味があるのか、評価が難しいところでもあります

サウス・カロライナ州は「トランプの党」になりつつある

それでもサウス・カロライナ州はトランプ流が最も成功している州といっても過言ではありません。トランプ派候補が州知事選予備選で勝利を果たしたことに加え、関税を「馬鹿げた実験」と発言し破れたサンフォード下院議員もサウス・カロライナ州です。

トランプ派の候補が予備選で勝利を果たしたのはまだ数えるほどしかありませんが、サウス・カロライナ州ではすでに連邦議会選挙、州知事選挙において2人の候補が本選挙に進出しています。アーリントン氏は、「我々はトランプの党だ!」と宣言しましたが、ある意味サウス・カロライナ州ではその宣言が的を射ていると言えるでしょう。

実は、サウス・カロライナ州はトランプ大統領が頻繁に遊説に赴いている州です。大統領選で民主党候補に圧勝した州であることに加え、現職州知事がトランプ大統領支持であることから居心地が良いというのもあるのでしょう。今後もこうしたトランプ派の候補が躍進するかに注目が必要です。

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